エイデン

ザ・フラッシュのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

“セントラル・シティ”
科学捜査官のバリー・アレンは、“スピードフォース”へとアクセスし超高速で移動できるヒーロー“フラッシュ”として平和を守る日々を送っていた
かつて地球を救ったヒーロー達と共に“ジャスティス・リーグ”の一員として活動するバリーは、今日も“バットマン”こと大富豪ブルース・ウェインの依頼で“ゴッサム・シティ”に駆け付ける
そこではブルースが危険な病原菌を盗み出したアル・ファルコーネと追走撃を繰り広げていた
執事アルフレッド・ペニーワースの支援を受けながら、バリーは崩壊する病院から人々を救い出し、ブルースも駆け付けたダイアナ・プリンス(“ワンダーウーマン”)の協力で無事事件は解決する
その後 遅刻しながらも仕事を終えたバリーは、大学時代憧れていた元同級生アイリス・ウエストと再会
アイリスは明日に控えたバリーの父ヘンリーの上訴審を心配する
実はヘンリーはバリーが幼い頃、妻ノラを自宅で殺害した罪に問われ、犯罪者として長らく捕まっていたのだ
今回の上訴審ではブルースの協力もあり、乱れて観ることができなかったスーパーマーケットの監視カメラ映像を無罪の証拠として提出する予定だった
しかしその夜 ブルースから送られた修復映像には、ヘンリーと思しき人物が映っていたものの肝心の顔が映っておらず、証拠としての能力が無かったと判明する
失意のままそれをヘンリーに伝えたバリーは、何とかして他に無罪の証拠を探すことを宣言
しかしヘンリーは、バリーに自分の人生を生きろと助言するのだった
深く傷ついたバリーは旧家へと向かい、自分の人生が変わったあの日のことを思い出す
あの日、今朝買い出しに出かけたノラが買い忘れたトマト缶を買いにヘンリーが出かけている間に、ノラは家に侵入した何者かによって腹部を刺されて命を落としたのだ
2階にいたバリーが悲鳴を聞いて様子を見に行った頃には、既にノラは息を引き取り、ちょうど帰宅したヘンリーがその亡骸を抱きしめていた
悲しみに暮れるバリーは超高速でその場を離れるが、スピードの限界を超えたところ“クロノボウル”という不思議な空間へと迷い込む
クロノボウルは時間を超えた空間で、それを使えば過去へと戻ることができるのではないかとバリーは考える
それをブルースに相談するが、彼は時間を変えようとすることは大きな危険を伴うと忠告
過去の悲しみがあるからこそ今の我々があると励まされたバリーだったが、そこへ現れたアイリスとの会話から、時間に大きな影響を与えない小さな変化を起こせば問題が起こらないのではないかと気付く
早速 走り出したバリーはクロノボウルへと入り、そこから過去へと遡ってあの日 買い出しにスーパーマーケットへ来ていたノラの元へとやって来る
再会を誓い、トマト缶をノラの買い物かごに入れたバリーは、再び現在へと帰ろうとするが、その途中 突如として現れた怪物によってクロノボウルから追い出されてしまう
訳がわからないまま急ぎ旧家に向かうと、そこには温かく自分を迎えるヘンリーとノラの姿が
計画が成功したと喜ぶバリーだったが、続けて目撃したのは、今まさに帰宅しようとしているもう1人の自分の姿だった
両親にバレないよう慌ててもう1人のバリーに接触してみると、何とここが10年前の世界だと判明する
過去のバリーは能力を持った未来の自分に喜ぶが、呆れたバリーはすぐ現代に戻ろうとしていた
ところが今日がちょうど自分が能力に目覚めた日だと気付く
自分が能力を得なければ影響があると考えたバリーは、過去のバリーを連れて研究所へと侵入
この研究所で科学捜査官のインターンをしていたバリーは、雷に撃たれ薬品を浴びたことで能力に目覚めたのだ
それを説明したところ、過去のバリーは雷に撃たれることを嫌がり、揉み合っているうちに2人は同時に雷に撃たれてしまう
満身創痍になりながらも無事に過去のバリーは能力を身に付けるが、代わりにバリーから能力が失われてしまったと判明
現代に帰ることができないと焦るバリーだったが、そんな折 ゾッド将軍による地球侵略が始まってしまう
かつてはクラーク・ケント(“スーパーマン”)の活躍でそれは阻止されたが、バリーの介入によって世界は大きな変化が起きており、このままでは歴史が変わって人類が滅亡する可能性もあった
助力を求めようにも、何故か後にジャスティス・リーグのメンバーとなる人物もいないとわかる
唯一バットマンだけがいると知ったバリーは、スーパーマンを見つけて世界を救うため、過去のバリーと協力してブルースの元へと向かうが、過去を変えた代償は想像を絶するものだった



DCエクステンデッド・ユニバース12作目

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』で顔を見せ、『ジャスティス・リーグ』で本格登場した超高速のヒーロー フラッシュを主演とした単独映画

DCエクステンデッド・ユニバースは『マン・オブ・スティール』以降、様々な方針転換を繰り返し、製作作のキャンセルも多くファンを翻弄
最近になってようやくジェームズ・ガンの元でDCユニバースとして再編成することが発表されたところだけど、本作もその嵐の中で製作され、上手いことその転換に合わせる形で辻褄を合わせた作品になったという印象
DCがそんな調子でクソムーブかまし続けてたので、ファンとして変に色眼鏡は付いてしまってるとは思うけど
そういう意味では、フラッシュというそのスピードで時空間を行き来できるキャラクターを中心に据えて、原作のイベント『フラッシュ・ポイント』を題材にしたのは十分及第点かな
まあ主演のエズラ・ミラーも諸々と問題児っぷりを見せてたので何ともコメントしづらいけど

そしてゲスト出演キャラも多数
冒頭の戦闘シーンにはベン・アフレックのバットマンに、ガル・ガドットのワンダーウーマンも登場しかなり胸アツ、かつ本来『ジャスティス・リーグ』公開時に今後観たかったシーンや絡みが観られる
ここに他のキャラがおらず、この組み合わせが観られるのも最後と考えると、DCへの恨みが込み上げながら合掌してしまった
まあスーパーマンに代わってなのかメインヴィランとしても『マン・オブ・スティール』のゾッド将軍が出てるけど
更にマルチバースを扱うにあたり、何とマイケル・キートン版のバットマンまで登場
ヒーロー映画の先駆け的存在だったキャラクターとのクロスオーバーは発表時も驚いたし、いざ観てみると老練さを感じさせながらも現代風にスタイリッシュなアレンジも加えられていてかなり良かった
また、マルチバースのスーパーマンとして新登場した“スーパーガール”も登場
演じるサッシャ・カジェには惚れるしか無かったので、ぜひ今後も続投してほしい
その他にも様々なキャラクターが登場してるのでDCファンにとってはたまらない
まあぶっちゃけ何でお前?みたいなやつもいたにはいたが・・・

結果 映画としてはマーベルに一歩遅れる形で(なお映画以外で言えば、ドラマシリーズ通称『アローバース』を中心に幅広いマルチバースを展開し、エズラ・ミラー版フラッシュも登場済み)過去の作品とのクロスオーバーという結果に落ち着いている

ストーリーとしては母の死という過去を改変したバリーがマルチバースや自分自身(ヒーロー)の運命に向き合うというもので、エンタメ性だけでなく亡き母や投獄された父との家族愛にも触れている
途中 軽妙なキャラのフラッシュらしいコメディ要素もあったりして、メリハリの付いた内容になってる
まさかの過去の自分自身とのバディものという見方もできて面白かったし、キャラの演じ分けをしていたエズラ・ミラーの能力の高さは改めて感じられた
また同時期に公開され、皮肉にも同じマルチバースを扱った『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』においても、ヒーローの運命をどう捉えるかという問いが投げかけられてるんだけど、本作と真逆の解答になってるオチは、どちらが正しいかはともかくとして興味深かったかな
ただまあそんなオチを含めて、粗や疑問を探せばポロポロと見つかる辺りは、まだDC再編成の煽りなのかと想像してしまう

様々な背景もありながらも、アクションあり、エンタメあり、感動もありと、詰め込んだ割には上手くまとめてるように感じるし、何よりサプライズが満載で楽しい映画になってた
これから生まれ変わるDCがどう動いていくのかもまた楽しみではあるし、1つの大きな節目として、バイブス上げて楽しんで観ましょう
エイデン

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