もるがな

ザ・フラッシュのもるがなのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

フラッシュのオリジンかと思って事前情報もなく予告編すら見ない状態で鑑賞したわけだが、まさかDCユニバースの交差点のど真ん中に放り出されるとは思わなかった。フラッシュの映画と銘打ってて主人公もフラッシュではあるものの、裏主人公はバットマンと言っても差し支えないと思う。

バットマン好きとしてはサプライズ込みで様々なバットマンが見れただけでも十分であり、冒頭を飾ったベン・アフレック版のバットマンはガタイのいい大男&ケツアゴというビジュアル面が完璧かつ、一番コミックスのバットマンのイメージに近い。スーツを脱いだときの大富豪ブルース・ウェインとしての「品の良さ」も備わっていて、バットマンとして完璧であると思う。

そんな中で現れたマイケル・キートン版バットマンはあまりにもサプライズすぎて反則だろ!と叫んでしまった。バットマンを知ったきっかけがティム・バートン版なので個人的な思い入れだけで言えばトップクラスであり、アンカー付きのワイヤーやバットラングを使う戦闘方法で近代的なベンアフ版と差別化していたのも素晴らしく、バットマンからイメージする戦い方を完璧に再現していたのは最高だと思う。近年はシリアス方面のバットマンが多く、そちらも面白くはあるものの、やはりこうしたガジェット満載で戦うヒーローとしてのバットマンのほうが外連味があって好きなのだ。最後のバットマンであるジョージ・クルーニーは呆気に取られたものの、富豪感は素晴らしく、また往年の映画を知っていると心憎いサプライズ配役であると思う。


フラッシュの物語としてはわりと先の読めない感じがあり、決まったパターンと型、セオリーに従ったmarvelに辟易としていた身としてはかなり斬新に映ったため評価は非常に高い。正直な話、ストーリーの落とし所が中盤まで読めず、そういう意味ではかなりワクワクさせられたし「やり直し」をすることで改めてフラッシュのオリジンとして語り直すのもかなり大胆でいいと思う。

反面、バトルシーンの殺陣に完成度に関してはまだまだであり、この辺はmarvelとは雲泥の差であろう。しかしながらサプライズ込みでストーリーはかなり剛腕であり、多少の統合性を無視してもエンタメに極振りしようとするパワーを感じる。マルチバース題材なら個人的にはDCのほうが使い方は上手いと感じるし、それでいながら最後の着地はわりとしっかりしており、ホロリとしてしまった。

反則技満載なので評価もまた反則級で星5以外付けようがないが、こうした飛び道具抜きで完成度の高いDC作品をもっと見てみたい。少なくとも近年のDC映画はどれも面白いと思う。
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