友二朗

ベイビー・ブローカーの友二朗のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
素晴らしく優しい
等身大の「心」

決して綺麗じゃない、しかし
どこまでも澄んだ一本。

是枝味もあり、それでいて新しい感覚にさせられた。大作を作ることも出来ただろうがそれよりも心の底に触れてくる、一貫して実直な映画。

台詞と映像が素敵。

なんとも言えない周りの要因。
ギリギリどうにもできないもどかしさ。

洗車シーンの良さ。

「嘘つきばかりだな」

窓の外を見て
口角が上がっていく。
何処か救われる。

窓から携帯を出して
電話越しに曲を流す。

モザイクを模して手で隠し
意味を変えてそれを続ける

涙を伝わせる。

親を想い、人を想いたくなる。
そして何より静かに自分と向き合える。

何か言いたいのに上手く言語化できない。
ここまで書いたものは好きじゃない。

何だろうこの感覚、余韻は。

自分はどうすればいいのだろう。

「生まれる前は保健所
 生まれた後は警察」

「生まれて捨てるより
 産まずに殺す方が
 罪が軽いの?」

「捨てられたんじゃなくて
 守られた」
そう伝えて育ててゆきます

「貴方たちになら売ってもよかった
 のかもしれないな」

「1番売りたかったのは
 私かもしれない」

「生まれてくれてありがとう」 
      と
「生まれてきてくれてありがとう」

の違いを考えながら今日は寝ます。

エンドロールのBGMが素晴らしかった。
友二朗

友二朗