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ベイビー・ブローカーのkazu1961のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.9
🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-304
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋 “生まれて来てくれて、ありがとう。。。”
いやもうこれは、是枝監督の韓国版『万引き家族』の前日譚のような作品、とても是枝監督らしいゆるりとした優しさが漂う良作でした!!何と言ってもたまらないのが、是枝監督と韓国映画ファンの私にとってはこの最高の組み合わせ!!是枝監督のもとに、ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ(『空気人形』で是枝監督と組んでいました)、イ・ジウン、イ・ジュヨンと多彩な幅を持つ韓国のスター達が集結しています。面白くないはずがない!!そんな作品です。

🖋そして思った以上に是枝監督の静かでゆるりとした世界観に韓国のキャスト達の演技が見事にハマっていて、物語の中に没頭できました。本作、何らかの理由で親が育てられない新生児を預かる「ベイビー・ボックス」に預けられた1人の赤ちゃんを巡って、善意と悪意が絡まりながら色んな思惑を持った人々の姿を描き出す人間ドラマです。結局はほんとに悪い人は出て来ません。。。様々な家族の形を描いて来た是枝監督にとって、本作はさらに一歩踏み込んで“命とは?”というテーマを描いた作品になっています。何らかの理由で親が養育を放棄し施設で育った人たちの“果たして自分は生まれて来て良かったのか?”という生に対する根源的な問いかけに応えよう、またそれに対して祈るような、願いのような作品なんだと是枝監督は語っています。

🖋結果、描かれたのは血がつながっていなくても家族となっていく関係なんですね。。。結末はゆるりとして余韻を残しますが。。。

🖋一方でそんな社会的な重厚なテーマを扱いながらも、そこはエンターテイメントとして作品を魅せる是枝監督、1台のバンで赤ちゃんの養父母を求めて移動し続ける珍道中の様子はユーモラスなロードムービーとして描かれます。そしてそこで韓国ならではのストレートのセリフのやり取りが効いてくるんですよね。

🖋そして、主要メンバーのサンヒョンやドンス、ソヨン、へジンが、寝ている赤ちゃんのそばで語り合う場面、その語り合う中身と台詞にグッと感動を覚えました。。。

🖋是枝監督×韓国・バイタリティのある豪華出演陣による社会派エンタメ作品、とてもよくできた作品でした!!

😌Story:(参考: 公式サイト )
古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、〈赤ちゃんポスト〉がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が〈赤ちゃんポスト〉に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、是が非でも現行犯で逮捕しようと、静かに後を追っていくが…。

🔸Database🔸
・邦題 :『ベイビー・ブローカー』
・原題 :『Broker』
・製作国 : 韓国
・初公開 : 2022
・日本公開: 2022/06/24
・上映時間 : 130分
・受賞 : ※※※
・監督 : 是枝裕和
・脚本 : 是枝裕和
・原作 : ※※※
・撮影 : ホン・ギョンピョ
・音楽 : チョン・ジェイル
・出演 : ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォン、イ・ジウン、イ・ジュヨン

🔸Overview (参考:映画. com)🔸
「万引き家族」の是枝裕和監督が、「パラサイト 半地下の家族」の名優ソン・ガンホを主演に初めて手がけた韓国映画。子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていく「赤ちゃんポスト(ベイビー・ボックス)」を介して出会った人々が織り成す物語を、オリジナル脚本で描く。古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョンと、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンスには、「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があった。ある土砂降りの雨の晩、2人は若い女ソヨンが赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づいて警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく赤ちゃんを連れ出したことを白状する。「赤ちゃんを育ててくれる家族を見つけようとしていた」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、サンヒョンとドンスを検挙するため尾行を続けていた刑事のスジンとイは、決定的な証拠をつかもうと彼らの後を追うが……。ソン・ガンホのほか、「義兄弟 SECRET REUNION」でもソンと共演したカン・ドンウォン、2009年に是枝監督の「空気人形」に主演したペ・ドゥナら韓国の実力派キャストが集結。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、主演のソン・ガンホが韓国人俳優初の男優賞を受賞。また、人間の内面を豊かに描いた作品に贈られるエキュメニカル審査員賞も受賞した。
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