くるぶし

ベイビー・ブローカーのくるぶしのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

感想は後ほどゆっくり書きますが、ここまで脚本がすかすかなのは、一体どういうことなのか…自分には「偽善」を箱に詰めてラッピングしたような映画に感じる。

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だいぶ落ちついたので思い出しながら振り返り。
一番気になったのは、この映画には”助詞”がないこと。簡単に言うと
「私は韓国人ではありません」→「ワタシ 韓国人 違う」だとだいぶ伝わり方が違うと思う。この状態と一緒。
それぞれの独立したシーンは見せ場もしっかりあり、なにより俳優陣がみな確実に爪痕を残してくる演技派だったので一見うまくつながっているように見えるけれど、説明がまるでなく背景を省きすぎたために唐突な出来事に感じるシーンが多々ある。逆に登場人物がもっと肉付けされてたら感情移入できたのに!というシーンも多々ある。

例えばソヨンがおしめをかえながら車の中で子守唄を歌うシーン。部屋から連れ出す必要性あったかな?泣き止まない子を連れていくわけでもなく、お乳をあげにいくわけでもない(もしここにその描写があれば終盤もっと響いてきそうな気もする)。
ペドゥナがソヨンの母性を知って考え方を変えるきっかけ?にしては印象もうすい。

あとはサンヒョンと娘のシーンも唐突感ありすぎる。人の子供を売り飛ばしているサンヒョンの親としての立場を描きたかったのかはわからないけど、個人的にはそこまで重要じゃなくないか?だったらヤクザとの関係性をもっと深掘りするべきだった。ソンガンホがまたすごく見せ方をわかってるからいいシーンになっているけど…

一番拒否反応があったのは、この赤ちゃんひとりだけが助かればいいのか、ということ。
“社会問題”と大きな括りで謳っておきながら、個の問題にすり替えている時点で色々ダメだった。いつものように事実を重ねて土台を固めてから観客に委ねるスタンスでよかったのに、答えを台詞にして言わせてしまったことも残念。

生まれてきてくれてありがとう、は観客が気づけばいいことであって、いちばん台詞にしちゃいけないと思う。
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