是枝裕和が慣れない作劇やってるのが、作品の出来に直結してた。
赤ちゃん抱えて旅するならず者の話はジョン・フォードから今敏まで色々あるし、言ってしまえば定型なんだけど、今作はその定型を上手く使えてない気がする。赤ちゃんを売るという目的は単純で良いとして、そこに挟まれる障害の作り方がちょっと雑。追う刑事のドラマもあって、殺人事件にヤクザまで絡めようとしているけど、結局整理出来てないので、最後はごちゃごちゃになってる。もっとシンプルにやれば良かったのに。是枝の得意な領域はこういうハイコンセプトな映画じゃないのはハッキリしてるんだから、脚本は自分で書かないで人に任せるとか、どうせチャレンジすんならそんくらいやるべき。自分の本じゃなきゃ撮れないならもっと直す必要があったと思う。それでもこの映画が観れちゃうのは役者が良いからに尽きる。ソン・ガンホと赤ん坊いれば何とかなっちゃうのも凄い。IUも役がもっと書けてればもっと良い芝居してたと思う。何より赤ん坊が良い芝居してたのが大きい。是枝はテーマから作り過ぎてる傾向があるからもっと瞬間だけの映画とか作った方が良い。子供だけで。
