MayumiI

ベイビー・ブローカーのMayumiIのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.7
クリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)と、「赤ちゃんポスト」がある児童施設で働くドンス(カン・ドンウォン)の裏稼業は、ベイビー・ブローカー。
ある晩、彼らは、若い女、ソヨン(イ・ジウン)が「赤ちゃんポスト」に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。
翌日、思い直して戻ってきたソヨンは、赤ん坊がいないことに気づいて…。

是枝監督の「そして父になる」、「万引き家族」に続く「疑似家族」の話。

見る前から、どこかで「ソン・ガンホと子どもがいれば、外れなし」と思ってはいたけど、期待以上だった。

ソン・ガンホやカン・ドンウォンがいいのは、もはや、言わずもがな…だけど、母親役のイ・ジウンちゃんの表情がなんとも良かったし、ヘジン(施設で出会ったわんぱくな男の子)役の子は、ナチュラルでかわいさ満点だった。
特に、「観覧車」のシーンや「洗車場」のシーンは好き。

そして、韓国映画でも、やっぱり是枝監督は是枝監督。
是枝監督は本当に優しい人なんだなと思った。
決定的に、「悪い人」が出てこないし、ブローカーの二人も、お金のためとはいえ、どこか本気で、自分達のやっていることは、「慈善」と思っている。
ソヨンも、「捨てた母」だけど、
なぜ捨てるのか、そして、中絶の道もあったのではないかと考えると、ウソン(赤ちゃん)のことを初めから愛していたと思う。
刑事(ペ・ドゥナ)は「捨てるなら産むな」と、言うが、彼らを追いかけるうちに、「赤ちゃんを一番売りたいと思っていたのは自分かも」と気づく。

監督が一番伝えたいことは、
「生まれてくれてありがとう」。
どんな人にも「生まれてくれてありがとう」なのだ。
「万引き家族」の海のシーンや、「海街diary」を思い出してしまった。
ラストは、意見が分かれるところだと思うが、あれで良かったと私は思う。
理想論なのかもしれないが
みんなの幸せを願わずにはいられなかった。
MayumiI

MayumiI