ヨミ

ベイビー・ブローカーのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと長すぎるな……。

是枝の映画を自覚的に観たのは『万引き家族』が最初だったけれど、幼いときにWOWOWで流れていたのを観た『誰も知らない』のイメージがトラウマのように残っている。消える母親、飢えに耐えかねて金魚に手を出す、幼い妹の死体を入れたキャリーバッグ。小学生くらいのときに眺めたきりなので全然間違っているかもしれないけど、こべりついたイメージがある。

『万引き家族』では、「公的な正義は幸福を作れるか」が焦点にされた。犯罪を生業にした疑似家族は確かに「正しく」なく、そしてラストではセーフティネットがあからさまに「機能する」。それはどうしようもなく正しいが、しかし間違った生活のなかで確かにあった幸福は霧散する(今気づいたが『天気の子』も近いな)

『ベイビー・ブローカー』は誘拐と児童人身売買が描かれ「万引き」よりも犯罪の度合いは上がる。「捨てる前は福祉だが、捨てた後は警察だ」と語る警察は誰を幸福にするのかと突きつけられ続けるが、今回では公と私の、ひとつの折り合いが見られる。だがきっとそれは「今回は救えた」に過ぎない。映画が終わってもひとは救われ切れないし、人生は続き、続いてしまうのだなと思った。
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