甲越

ベイビー・ブローカーの甲越のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.3
ソン・ガンホが演じる主人公は犯罪者であり、確かに悪いやつのはずだが、完全にそうとも思えないのは、捨てられた赤ん坊を売り渡すことは、案外その赤ん坊にとっていいことなのかもしれないからだろうか。この主人公がそう確信して犯罪行為を行っているとしたら、それは本当に「善意」なのかもしれない。
韓国でも格差が拡がり、底辺で苦しむ人たちが多くいると聞く。その中でいろいろな事情で親に捨てられ、自分の存在意味が判らなくなる子供も多数いると思う。それでも「(誰もが)生まれてきてくれて、ありがとう」というこの映画のメッセージに強く感銘する。
主人公の複雑な思いやバッググラウンドを、飄々と演じきったソン・ガンホはさすがだと思った。また、イ・ジウンが母親としての気持ちの変化を見事に演じていたところも良かった。韓国映画のレベルの高さを改めて認識させられた。
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