ぼっちザうぉっちゃー

ベイビー・ブローカーのぼっちザうぉっちゃーのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

韓流弱者の私でもさすがに馴染みだした顔ぶれに、是枝節な淡々とした演出。
殺伐として笑えない話とのギャップの部分はやはり韓国らしいが、コミカルというよりどこか優しい長閑さを感じた。

重くて軽い命を乗せて行くボロワゴンの旅、そのロードムービーの道々は、知っている韓国とは違うエキゾチズム感じる、独特の心映えな風景が並んでいた。そして後ろから追ってくる警察(社会道徳)とともに、諦観じみた空気が人物間に漂っているのも印象的だった。

自分の始まりを土砂降りの雨ざらしで迎えている、それどころか今もまだ雨に打たれて濡れ続けているような人々にとっては、それこそ洗車で濡れるのを笑い合えるような、解れたボタンを直してくれるような、それくらいのささやかな支えが重要だったりするのではないかなと思った。
そんな中で、車で雨をしのいで替えのシャツを所望する社会道徳の、まぁいいご身分なこと。
冒頭である意味自分が手放した形になったスジンのもとに、回りまわって赤子が帰ってくるのは、あらゆる人の手を渡ってきた小さな命に向き合って「もう一度考えましょう」と逆にあやし諭されるような、穏やかでいて真剣な問題提起に思えた。