映画太郎

ベイビー・ブローカーの映画太郎のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.8
素晴らしかった。役者の芝居も韓国の風景も、そして音楽も素晴らしかった。もしかしたら気がつかないうちに涙が流れていたかもしれない。

観終わってみて「万引き家族」のプロットと同じだと思った。訳ありな人々が少しずつ擬似家族の絆を築いていくが、そもそもが違法なモノで、結局は主犯格が逮捕されて擬似家族はバラバラになる。さして新しい道を歩き始める。

是枝監督は「誰も知らない」で子供を捨てる母親を描き、「そして父になる」では生みの親と育ての親を確執を描いている。「奇跡」では子供の視点ではあるが、やはり親子の関係を描いている。「海街diary」は原作モノであるにも関わらず家族の絆を描いている。まるで家族の絆に固執しているようにも見える。

ただ、よくある家族や親子の絆を感動的に描くような事はせず、関係性の歪み描く事で、観る者の考える余地、余白を残している。「あなたはどう思いますか?」と投げかけられているようだ。今回も「彼らのこれから」を考えずにはいられなかった。

よく、「子供の使い方が上手い監督は優秀」と言われたりするが、是枝監督はまさに「子供使い」と言っていい。子供の自然な表情をどうやって落とし込んでいるのか想像がつかない。今回も施設からついてきてしまったウソンの存在感はホッとするような存在感があった。「海街diary」での広瀬すずは、台本を渡さず、現場で口頭でセリフを説明して、自身の言葉を採用する方法をとっている。

是枝監督は、インターナショナルに活躍する数少ない日本人映画監督なだけに、毎新作は注目と期待が寄せられる。これからも、予想もつかない作品を作り続けてほしい。

ところで、ペ・ドゥナはやっぱり「空気人形」つながりのキャスティングなんだろうか?
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