りょう

ベイビー・ブローカーのりょうのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.0
ブローカーのサンヒョン、ドンスの2人と、赤ちゃんのウソンを捨てたソヨン、そして児童養護施設にいたヘジン。この5人がどうして家族のようになっていくのか。

一番初めの相手との交渉で、見た目にケチつけて値切ってきたやつにソヨンが切れた時、子供捨てた親がそんなこと言えるのかよ、と思ったけど、この映画を見終わったあと振り返ってみると、ここがサンちゃんやドンスがソヨンと仲間意識を持つきっかけになった気がする。ウソンは簡単には渡さない、ウソンをちゃんと育ててくれる人じゃないといやだ。

家族になりたいヘジンが無邪気にする発言も、ウソンを可愛がるところも何か家族感を醸成してた。

サンちゃんは初めは「売り物」としてのウソンを大事にする感じでおむつも変えてたけど、後半は本当の子供のような扱いしてて、かわいかった。

自分の親がいつか迎えに来るのではと思っていたドンスはどういう気持ちでベイビーブローカーをやろうと思ったのだろう。自分の人生を振り返って、帰ってくるつもりもない親を待つよりも、大切にしてくれる親に育ててもらう方がまだマシ、って心の中では思ってたのかな。お金のこともあるだろうけど。

洗車のシーンが幸せすぎた。ああやって失敗しちゃったことも笑顔で思い出にできるのが家族。あの時大変だったねーって。家族で集まれば何回もその話題になる忘れられない思い出ってあるな。ヘジンが遊園地よりもまた洗車に行きたいっていうところが良かった。

最後の車のシーンはきっとサンヒョンなんだろうな。血の繋がりじゃなく、過ごした時の長さでもない「何か」で繋がる関係、家族でもなく友達でもない、でも暖かな関係だった5人。生まれてきてくれてありがとうって言える他人。人間関係って不思議。

とても稀な育てられ方をしたウソンはどんな子になるのかな。普通とは違うけど、色んな人の愛をもらって優しい子になるんじゃないかな。
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