寝るのだいじ

ベイビー・ブローカーの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

借金で首が回らないクリーニング屋のおじさんが、赤ちゃんポスト従業員と協力して赤ちゃんの売り手をするも、赤ちゃんのお母さんが一緒に買い手を探す話。

赤ちゃんポストの存在意義については賛否両論あるが、作中にもあった「産んで捨てれば有罪、産まずに堕ろせば無罪なのか」「父親はどうしたのか」「ワンオペは大変」などの発言から、父親の透明化について考えさせられる。

お母さんは自分の子供としては大切にしたかったが、父親が風俗客であることや、そいつを殺したのが自分の母親という事実を背負わせたくなかった。
本当は子供がどう成長していくのか、安心して生活できるのか気になるという姿が、心から母親でいて、ちゃんと育てられる世界線ならどれだけ良かったかと悲しかった。

こういう母親は暗数なだけで、実際は多いと思う。
嫌ながらも娼婦をしなければならなかったの背景や、避妊を当たり前としない風俗店も、見直されてほしい。

カメラワークが明らかに日本ぽくて、いびつな関係ながらも幸せな家族の描き方が「万引き家族」と良く似ていたので、同じ監督なのは納得した。
正解も間違いもなく、ただそこに存在しているという感じが得意なのかな。