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ベイビー・ブローカーのtsubasaのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.6
『万引き家族』(2018)でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞するなど、日本のみならず海外からも高い評価を得ている是枝裕和監督。そして2022年、カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞、エキュメニカル審査員賞の二冠に輝いた最新作が今作。

本編は和やかな場面も多く、テーマは重いですが観ていてそこまで暗くなる映画ではなかった。この作品の大きな要である「赤ちゃんポスト」
(※実際に日本唯一の赤ちゃんポストを設置している熊本県の慈恵病院は、赤ちゃんポストではなく「こうのとりゆりかご」と呼称)

ラストの車に乗っていたのは誰?最後のニュースの真相は?なんて曖昧な部分が多かったのは当時映画館で観てて不満に思ったのは覚えている。

ただ、「生まれてきてくれてありがとう」とソヨンが一人一人に言ったシーンは、是枝監督が一番伝えたかった部分だと思う。
親を知らず、親に捨てられたと自覚がある子供たちは「自分は生まれてきてよかったのか」という自問をする子がほとんど。
自分が生まれたことに疑問を持つことがどれほど辛いか。
子供は自分の存在意義なんて考えずに、ただ純粋に健やかに生きていていい存在のはず。
「生まれてきてくれてありがとう」という言葉は、何もかもひっくるめてその人の存在を肯定する。世の中には、そんか心のこもったこの言葉で救われる子供や大人がどれほどたくさんいるのだろうと考えてしまった。

浅い言葉だけど人と人とのつながり、生まれてきた命を改めて大切に考えさせてくれる作品でした。
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