石

白爪草の石のネタバレレビュー・内容・結末

白爪草(2020年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

対立構図を多用しつつ、あえて立ち位置をひっきりなしにひっくり返すことで自他の境界線を意図的に曖昧にしているように見えた。ライティングも同様に暖色寒色が立場によって目まぐるしく変わる。
ほぼ全てのカットで花が写り込むことでキャラクターが花屋に居ることを忘れさせない、ラストの死体の隠し場所の真実でゾッとする。爪は装飾に、肉は肥料に、あの空間が終始異様な空間だったことが伺える。青は紅の"花好き"さえ塗り替えて行った。
密室で2人劇ということもあり、視覚的に飽きない工夫を凝らしていたように思える。

双子を演じ分けたというvtuberさん。声に結構特徴があり、大きく演じ分ける必要があったように思えるが、青と紅で違った特徴を出せていたように思える。が、少し演じ分けがオーバー気味にも思えた。紅に関しては澄ました時と感極まった時の演技がほぼ別人で少し気になった。

結局のところ精神科医はなんだったのかと、原因の一端を担っているように思えるが、ここに関しては特に言及なく終わる。喪黒福造や世にも奇妙な物語のキーアイテム的な立ち位置という認識で、これについて感情移入はしないというのが落ち着きが良さそう。

技術的な部分で惜しいかなと思う部分多々あり。
・瞳のハイライトが瞼より上に浮いているカットが何ヶ所か存在した。横を向くと瞳より前に出ていて、瞼を閉じると瞼の前に白い丸が出てくる。これはちょっと致命的なミス。
・足の接地をしておらず、空を歩いている箇所があった。もしかしたら後修正が困難だったのかもしれない。
・表情の変化が乏しい。ほぼスイッチングそのままを修正せず?2キャラクターしか登場しない+場所が変わらないという空間で、定点ではない演劇スタイルなので、声の演技に応じたフェイシャルアニメーションはマストだったように思える。難しいのであろうが。
・椅子の3dcgの動きとSEに齟齬がある。これは何故合わせられなかったのかよく分からない。
石