地底獣国

妖婆 死棺の呪いの地底獣国のレビュー・感想・評価

妖婆 死棺の呪い(1967年製作の映画)
3.2
19世紀に書かれたゴーゴリの小説を映画化した「ソビエト初のホラー映画」だそうで、初公開時動員3000万人の大ヒットを記録したとの事。


キーウにある神学校の哲学生ホマーは夏期休暇で帰郷する途中道に迷い、辿り着いた村の家に泊めてもらうが、家の老婆に迫られる。
逃げるホマーに跨って空高く舞い上がる老婆。
地上に降り、ホマーが老婆を叩きのめすと・・老婆が美少女に!
恐れをなしたホマーが帰郷を止めて神学校に戻ると、地主から死んだ娘の祈祷を頼まれる。が、その娘とはあの美少女=老婆だった。
3夜の祈祷を課せられたホマーは夜毎怪異に苛まれる事に…というお話


ロシア文学とはほぼ無縁なもんで(ナボコフの「絶望」は三分の一ぐらい読んだところで停まってる)どのくらい原作に即しているのか分からんけど、神学校の学生達が休みに入る前の校長の話ちゃんと聞いてない奴ばっかりとか、校舎から出た途端に羽目を外して市場の物をかっぱらって行ったりとかえらく俗っぽく描写されてるのは如何にも共産主義国の映画って感じ。

ホマーの前に現れる魑魅魍魎がちょっとキモカワで、邦画で言うと「妖怪百物型」「夜叉ヶ池」みたいな感じ。ボスキャラ?のヴィイは目を合わせると最期っていうおっかない怪物なんだけど、瞼が何十センチも垂れ下がっていて自力では目を開けられないという間の抜け様が良い感じ。

まあでも本作の一番の見所は中盤の棺桶空中サーフィン。宙に浮いた棺桶(上から吊った状態で撮影している)とその中に立つ魔女が礼拝堂の中を飛び回り、カメラもぐるんぐるん回る驚嘆のシーン、魔女役の人が見事なバランス感覚で姿勢を保っていて(サーカスで空中ブランコ乗りをやっていたとか)とにかく見惚れてしまう。

というわけで今の目では怖いと感じる部分は殆ど無いにしても、個人的にはこの美少女魔女のパフォーマンスだけで一見の価値ありかなという感じの一本。

おまけ:洋の東西を問わずこの手の怪談の肝は「無事に夜明けを迎えられるか否か」となるわけだが、自分の知識が欠けてるせいで終盤の展開に「ん?どゆこと?」と面食らってしまった。あとで調べると(以下コメント欄)
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