揺籠ふぃるす

妖婆 死棺の呪いの揺籠ふぃるすのレビュー・感想・評価

妖婆 死棺の呪い(1967年製作の映画)
3.9
日欧米 Movie Sabbath
27作品目(終わりが見えん)

ロシアン・ゴシック・ホラー
ソ連の初ホラーの謳い文句。初見は眠くなって頭機能停止。

原作
ニコライ・ゴーゴリ
『ヴィイ』
自分は『怪奇小説傑作選5』を読んでリベンジ。
題名に『妖女(ヴィイ)』とあるので妖女、妖婆(ведьма ヴェージマ(魔女の意))がヴィイ(Вий)なのかと思ってしまった。ヴィイはラスボスの事だそうで、ちょっとお読みになる際はご注意。文中は土精にヴィイのルビがふってあります。ほぼ原作通りの映像化。

ゴーゴリに惚れた。この話は『ミルゴロド』(1835)に収録だそうだが、バーバ・ヤガーや悪魔などのウクライナ民話を集めた『ディカーニカ近郷夜話』(1831-32)が俄然気になる。

あらすじは、ウクライナ・キーウの神学校に通う不良少年たち3人が夏休みの帰郷途中、道に迷い夜も更け1軒の民家にたどり着くと、出てきた老婆に一夜の宿を乞う。

哲学科のホマーは納屋へと通され寝ようとした所、老婆に夜這いをかけられ、逃げようとしたが如何なる妖術か、老婆を肩車し外へ全力疾走、いつしか足は宙を掻き、夜空を舞う。その時ホマーは気付く、コイツは妖婆(魔女)だと。聖なる祈りの言葉で、地上へと降りると、近くにあった棒で妖婆をタコ殴りに。すると目を見張るほどの美女へと姿を変える。

狼狽えたホマーは、神学校へ逃げ帰るが、地方の村を仕切るお偉いさんの娘が、臨終の床にてホマーを名指しで死後3日の回向を願っているという。娘の死顔を見たホマは愕然とする。あの娘だ…。そうして、朽ち古びた教会での恐怖の三夜が始まる―――。

怖くないんだけど、牧歌的で素朴な雰囲気と恐怖演出の気合いの入り方(手作り感)が、とても素敵で魅力が溢れてて、悪く言う気が失せる。

魔女の女優さんがスゴい綺麗で、屍衣と死化粧、花輪の髪飾り。吸血鬼も顔負けの耽美さを醸し出してる。

三夜目の百鬼夜行は観ても損はしないと思う。

参考にさせて頂いた。

https://inagara.octsky.net/youba-sikanno-noroi



【自分用MEMO】
『ヴィイ』の項目よりWiki引用
『ヴィイ(露: Вий)は、東スラヴ神話における死の目を持つ地下世界の生物。その目は普段、大きな瞼や睫毛で覆われており[1]、自力で持ち上げることが出来ない。
ロシアとベラルーシの民話では、ヴィイの瞼(睫毛、眉)がピッチフォークによって持ち上げられた[2]。ヴィイが見た者は目を覚ますことができず、やがて死亡する。その視線によって、ヴィイは人を殺すだけでなく、村や都市を破壊して灰に変えることが出来る[3]。』

ピッチフォーク
(外国で干し草とかに使う農具。悪魔がよく持ってる奴)

映像化一覧

『Вий』 (1909)(露)LOST
『Вий 』(1912)(露)LOST
『Вий 』(1916)(露)LOST
『血ぬられた墓標』(1960)(伊)
『妖婆 死棺の呪い』(1967)(露)
『デモンズ5』(1989)(伊)
『Свето место(Sveto Mesto)』 (1990)(ユーゴスラビア)
『Ведьма 』(2006)(露)
『Evil Spirit ; VIY』 (2008)(韓)
『レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺』 (2014)
『魔界探偵ゴーゴリII 魔女の呪いと妖怪ヴィーの召喚』 (2018)
『レジェンド・オブ・ドラゴン 鉄仮面と龍の秘宝』 (2019)
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