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ライオンの消滅の河のレビュー・感想・評価

ライオンの消滅(2003年製作の映画)
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想像したことが現実化する、自分にしか見えないものが見える主人公がいて、パリのシンボルになっているライオンがいる。そのライオンは地獄門を守るように位置している。ただ、そのライオンは今やシンボルではなくなっていて、周りには無関心に車が走っている。
主人公の見ていた他の人への占いの結果通りに男が現れる。その男は地獄門の受付をしていて、あたかもそのライオンが人間になったような存在になっている。ライオンがシンボルとしてもはや存在していないのと同様にその男も存在しておらず、それに気づいて男は消える。そしてまた他の人への占いの通りに、ライオンの代わりに猫が現れる。猫はアニエスヴァルダの映画のマスコットになっていて、平穏で落ち着いていて気ままって意味がある。陰謀論的な雰囲気はないけど、ジャックリヴェット的なゲシュタルト崩壊したように普段から見ていた街の見え方が変化する映画になっていて、その見え方の変化が孤独になって心の平穏を得ていくような主人公の心境の変化に対応している。さらにそれがアニエスヴァルダ自身やその映画に重ね合わされる。12分だと思えないような内容。
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