美への執念。
容姿が幼い頃からコンプレックスであり、それが原因で性格がひがんでいる主人公。
容姿を変えることはできたが、自分自身を愛する方法。本当の幸せを見つけることができなかったのであろう...。
「見る・見られる」の関係が執拗に映され主人公の自我が崩壊していく描写、通販番組のテレビ画面などの作りこみ、オチを含め全体に良い意味で意地悪なテイストが満載なところなど…。
人間の暗部をグサグサえぐるように描き、それが楽しさに変わっていく秀逸な作品でした。
外見のみに執着することは、我々を形作る「人格」「徳目」「教養」などをおざなりにしてしまう。外見至上主義の風潮に流されることなく、上記を含めた総合的な自分を高めることが、末長く幸せに生きるためには必要なのではないかと感じました。