じゅ

MORTAL モータルのじゅのネタバレレビュー・内容・結末

MORTAL モータル(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

無能傲慢メリケンすこ。
刺激したらやばい相手だと身をもって知ってんのに同行者を膝で地面に押さえつけて実力で制圧しようとする脳筋スタイルに愛。


ダニエル・バーグランドが「草原が広がって空の色も変わって大きな木のシルエットが見える」みたいなこと言うから北欧神話ググんなきゃかなと思ってたけど、必要なことはたぶん全部説明してくれて助かった。
9つの世界は「ある明日バナナ煮出す無味鈍るよ」っていう語呂合わせで覚えられるってQuizKnockの人たちがやってた。アールヴヘイム、アスガルド、ヴァナヘイム、ニダヴェリール、スヴァルトアールヴヘイム、ムスペルヘイム、ミッドガルド、ニヴルヘイム、ヨトゥンヘイム。そんで世界の真ん中を世界樹ユグドラシルがぶち抜いてる。ミッドガルドに人間が住んでて、アスガルドに神々が住んでるって聞いた。

巨人の群勢とやりあって終末の日が訪れた(所謂ラグナロク)。そんで雷神トールの息子が農場を作って子孫が帰る場所を作っといたとかそんな話だったっけか。地下に神の叡智とニョルニルを埋めて。
時を経てその農場にはバーグランドの親戚が住むようになってて、トールの子孫(あるいは生まれ変わり?)たるバーグランドが訪れた際に雷神の子孫としての力が発現し、訳もわからぬまま家屋と親戚を焼き尽くしてしまう。ちなみにその親戚は本当にただの人間だったわけか。
クリスティーヌとヘンリクと再び農場を訪れた際にトールの息子の遺物を発見して、バーグランドは神の力を完全に我が物にする。


で、バーグランドのすぐ目の前でクリスティーヌの頭を誤射して撃ち抜いちゃったメリケンさん。『ブライト・バーン』でまるでDCのスーパーマンが人類を憎悪の対象と見做したような展開が描かれてたけど、こっちではさながらMCUの雷神ソー・オーディンソンが人類に憎しみを抱いてしまったかんじ。その後各地で暴れ回るのか冒頭みたいに山とか森に隠れるのか知らんけど、まあ明るい未来ではないわな。
でも、もしかしたらバーグランドとは別に神の子孫がいるかも。探そうメリケン。今度は友好的に行こうな。

敵対を貫いたメリケンと、トール信仰が過熱したオルダルの現地民の違いは何だったんだろう。そりゃあ土着信仰の神様ではあるけども、あんなやべえ暴走を目の当たりにして尚信仰が過熱するとは一体。

題名が『MORTAL』で、冒頭の解説では「人間」の意味だと解説されてた。確かにweblioで検索すると可算名詞で「(普通の)人間」っていう意味もある。ノルウェー語だとそういう意味なのかなと思ってたけど、そもそもノルウェー語にmortalが存在しない模様。そういえばバーグランドはノルウェー語じゃなくて英語話者の設定だった。
神が永遠の存在であるのに対して、人間はやがて死ぬ限りある存在だ、みたいな対比があるらしい。

とすれば本作はバーグランドよりも、神と対峙した矮小な人間共を描いたものだったのかなとしみじみ思う。
それは神の御力を前にして尚制することができると驕り昂る人間だったり、強大な力を前にただただ熱心に崇め奉るしかできない人間だったり。俺はひたすら畏怖するタイプだと思います。
じゅ

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