おさむちゃん

ドアーズ/まぼろしの世界のおさむちゃんのレビュー・感想・評価

ドアーズ/まぼろしの世界(2009年製作の映画)
3.7
演出が若干臭い。

ジョニーデップのナレーションを売りにするのもイマイチ謎である。

とは言えジムモリソンのライヴでのパフォーマンスを観れたのはよかった。

エドサリバンショーでドラッグを連想させる high の部分の歌詞を変えて歌って と頼まれたにも関わらず、そのまま歌ったり、
the end でマザーファッカーや父を殺すなど反社会的内容を歌い上げる。

倫理や道徳を揺さぶるあたりセックスピストルズやパゾリーニを彷彿とさせる。
「君のパパを殺したい♬」と歌い上げる銀杏BOYZの峯田にもその魂が感じられる。

このドキュメントを観ればドアーズの一般的な悪評は権力によって作り上げられたものというのが分かる。
アルバム一枚目と二枚目の完成度が高過ぎるのも一因か。

ジムモリソンのパフォーマンスは華がある。
歌は上手くないけれども、説得力がある。
ジャズ上がりのドラム
フラメンコ上がりのギター
クラシックとブルースを好むキーボード
バラバラなルーツにジムモリソンのシンプルなのに奥深く聴こえてくる詩が混ざってドアーズ。

ジムモリソンの内省的な詩とそれを表現する音楽は唯一無二だ。


ザ・○○ズというのはよくあるバンド名だが、ドアーズの由来は

18世紀の詩人ウィリアムブレイクの詩の一節

「もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える」

からの引用であり、知性や奥深さを感じさせる。

それにドアーズ四人が写る写真の格好良さ。
アルバムのジャケのアートワークも名盤の香りが漂うのが好ましい。

ジムモリソンのカリスマ性故にこの映画は彼に焦点がある。他メンバーの音楽にももう少し焦点が当てられていれば…と思った。
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