ボブおじさん

レベッカのボブおじさんのレビュー・感想・評価

レベッカ(2020年製作の映画)
3.7
この映画に限らず名作映画のリメイクは、常にその名作と比較されてしまう為、設定ハードルが高くなり不評に陥りやすい。案の定、この作品も厳しめの評価が目立つ。

もっともオリジナルのヒッチコック版とて、ダフニ・デュ・モーリエの傑作小説を読んだ人からは、原作との違いをあれこれと言われていた😊

リメイクは、オリジナルと同じ様に作ったのでは意味がない(たまにそういうリメイクもあるが😅)、だが、オリジナルファンには、独自性を出した部分をオリジナルの方が良かったと言われがち😅(あそこが良かったのに💢)。

傑作小説にしてサスペンスの神様のリメイク。この映画は、最初から分の悪い勝負だったが、監督のベン・ウィートリーは果敢に挑戦した。(MEG ザ・モンスターズ2の監督と知ってビックリ)

もう30年くらい前になるが、原作も一応読んでいる。午前中にヒッチコック版を見たので、思いっきり比較することになってしまったが個人的にはこのリメイク版も悪くはなかった。

80年前の作品と映像技術の進化を確認しながら、結果的には、どこを削ってどこを膨らませたのか、原作やヒッチコック版と比べながら見ることになった。

モノクロ映画とカラー映画の決定的な違いを意識して本作では、舞台となるマンダレイの屋敷を美しい映像で夢の世界の様に描いて見せた。ヒッチコック版では、モノクロの特色である光と影の演出で不気味な洋館のイメージを映し出していたのとは対照的だ。

ヒッチコック版ではヒロインの後ろに写る影がレベッカの亡霊の様に見せる演出があったが、本作では広い屋敷の中を広角に映すことで、どこにも居場所がない孤独感を感じさせた。

衣装なども物語上、重要な意味を持つ舞踏会のドレスをオリジナルの白から赤に変えるなど意識して色の美しさ鮮やかさを前面に出していた。現代の演出として、これは成功していると思う。

タイトルにもなっている〝レベッカ〟の存在にも違いを見せる。ヒッチコック版では、一切姿を見せなかったレベッカだが、本作ではヒロインの夢の中に後ろ姿が現れる。

追いかけても追いつかない存在として描いたのかもしれないが、個人的には一切姿を映さないことにより、その〝美しさ・気高さ・カリスマ性〟を想像させたヒッチコックの演出の方が好みである。

演者では、原作のイメージにより近い、ヒッチコック版のジョーン・フォンテインも美しかったが、純粋で世間知らずな娘から愛する人を守るために強い女性に徐々に成長していくリリー・ジェームズが良かった。まぁもともと好きなんだけど😅

そんな訳で後出しジャンケンの不利な立場ながらなかなかに検討したリメイク作品だった。