叡福寺清子

カムバック・トゥ・ハリウッド!!の叡福寺清子のネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

1単語あたりのギャランティ計算だと安価になるんちゃうんと思うほどに,よく喋るデ・ニーロさんでした.こんばんわ.三遊亭呼延灼です.
『マンチュラ(人面蜘蛛)』とか『死霊の牛たち』って作品ばっか製作しているミラクル・ピクチャーズのプロデューサーであるマックスさん.モデルはロイド・カウフマンだったりするのかしら.で映画好きギャングのレジー・フォンテインさんからの出資で製作した『尼さんは殺し屋』が大コケどころか,教会関係者のボイコット運動で真っ赤な上に真っ赤を重ねる大赤字.もちろん資金なんて回収不可.ヤヴァいよヤヴァいよーー!!って事で思いついたのが保険金詐欺.老人ホームでくすぶっていた,かつてのウェスタン映画のヒーローであるデューク・モンタナさんを担ぎ上げて,撮影中の事故死を工作しますが・・・

エンドロールの最後に『尼さんは殺し屋』のモキュ・トレーラーが流れます.典型的エクスプロイテーションで,そこそこにファンが付きそう,なんだったら半世紀後にカルト・ムービーになってそうな雰囲気で,教会の妨害に屈せず是が非でも公開していただきたかったですね.エチエチ尼さんがボンデージファッションで銃乱射.今なら余裕で公開されていたことでしょう(本作の時代設定は1974年).

単純なコメディかと思いきや,モンタナさんの復帰作の監督面接で一番真面目で熱心だった女性を,女だからと渋るマックスさんに「こいつがえぇ!」と文字通り銃で黙らせたモンタナさんだったり,そのモンタナさんも若手の頃にムービースターになるか黒人女性と交際してるただの人かの二者択一を迫られたり,と映画業界の悪しき慣習をチクリとしているあたり,ちゃんとしてるやんと感心いたしました.
マックスさんはマックスさんで,ホントに映画が好きなんやなぁと好感なのが,いわゆるMe Too事案を1ミリも感じさせなかった事.映画好きがそのまま老人になったような人物がマックスさん.周囲,特に甥っ子さんは大変だけど,どこか憎めない.私の近くにはいてほしくないですけどね.
レジーさんはレジーさんで,「殺すのなんて簡単だろ」とか言うんだけど,自分が子供の頃大ファンだったモンタナさんの復帰作を観ていい笑顔になる.うん,やっぱ映画好きに悪い人はいませんって事ですな.
その復帰作が大ヒットして資金も無事回収したし,モンタナさんはモンタナさんで数十年ぶりに黒人女性の元を訪れるで,ハッピーエンドでございました,とさ.