てんびん

アイの歌声を聴かせてのてんびんのレビュー・感想・評価

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)
3.8
独りよがりではなく、多くの人に見てもらおうと作られた映画。
斬新さはなくて、ありきたりと言ってもいい程の定番の展開が続く。僕みたいに(大勢の人と比較して)たくさんのフィクションに触れてきた人間にはちょっと不満を感じるかもしれない。でもそこがオタクの悪いところで、「俺でなきゃ見逃しちゃうね」「分かる人には分かる」「この繊細な表現が~」ってどんどん敷居を高くして先鋭化していくと次第に独りよがりの意味不明な内容になっていくから。
その点この映画は徹底的に分かりやすく作られている。「このシーンは重要なのでよく覚えておいてくださいよー!」「この描写は後で使う前フリなので強調していますよー!」と言葉を使わずに教えてくれる。あまり映画やアニメを見ない人でも分かるような配慮がなされている。
ミュージカルシーンを取っても、ミュージカルが苦手な人がよく「なんで突然歌い出すの?」「なんで音楽が鳴り出すの?」って言うけど、この作品では分かりやすい答えが用意されていましたね。「****(ネタバレ)が好きだったから」「学校のスピーカーをハッキングしたから」
98分という上映時間に詰め込まれた様々な工夫には力が込められており、相当気合を入れて作られたことは想像に難くない。
で、その上で言うけど、僕にはありきたり過ぎて説明がクドくてそこまで好きになれない映画でした。
あとそういう映画ではないと分かっていながらも、ちょっとファンタジー過ぎでは?と思ってしまう。もうちょっとSF感があって欲しかった。個人的な好みだけど。シオンって最初に用意されていたAIを乗っ取ってるし、人工衛星まで乗っとるし、危険過ぎる存在だと思うんだけど・・・。
でもまぁミュージカル映画って、明るくて楽しくて最後は笑って終わる作品が多いから別にいいか・・・。
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