Jimmy

らせん階段のJimmyのレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
3.8
冒頭に映される「らせん階段の俯瞰ショット」からイイ感じの導入であり、この映画がヒッチコックの『めまい』にも影響を与えたのではないかという名場面。
障害者の女性ばかりを狙う連続殺人事件が発生し、口がきけない女性(ドロシー・マクガイア)も狙われるのでは?…とドキドキさせられる作品。

あるホテルで無声映画の上映会をしている。『接吻』という作品で、ピアニストが映画を見ながら演奏している。
すると、ホテル上階で殺人事件。物音がしたので、ホテルは騒然となる。またもや、障害者の女性を狙った殺人事件だった。
そして、ドロシー・マクガイアが片田舎の屋敷に帰ろうとする後ろから殺人者らしき影が迫る……。
なかなか怖い展開。

上手いのは、女性を狙う犯人の瞳のクローズアップ、片田舎の屋敷を舞台にしながら外は嵐という状況、そして屋敷の中で(特に、らせん階段での)光と影のコントラストを描いたシーンなど、観ていて盛り上がるドラマになっていること。

物語の舞台が屋敷の中が中心…という若干閉塞的な世界なので、途中から犯人が絞られてしまうのがチョット惜しい…。

ようやく本作を観ることができたので、これを紹介してくれている川本三郎著『サスペンス映画ここにあり』(平凡社)の『らせん階段』のコーナーを読むことができた(^_^)

映画製作者は、『ガス燈』において、屋敷内で追い詰められていく人妻を好演したイングリッド・バーグマン主演としたかったらしいが断られて、ドロシー・マクガイアになって彼女の上手さで盛り上げるサスペンス映画になった。
イングリッド・バーグマン主演でも観たかった気がする。

この作品、1970年代にジャクリーン・ビセット主演でリメイク版が作られているので、そちらも機会あれば観たい。
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