Ricola

らせん階段のRicolaのレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
4.0
体の不自由な女性ばかりを狙う連続殺人事件が、ある田舎の町で起こる。
閉塞的なお屋敷を舞台に、不可解な行動の人物たちにビクビクしながら、どんどん推理を深めていくのが面白い作品である。


冒頭のクレジットを、らせん階段を真上から映しながら流す。
大きな伏線をここですでに張るという大胆さ。このらせん階段を念頭に置いて、観客は映画に入り込んでいくのだろう。
また単純に、らせん階段のぐるぐるとした形状を映すことで、我々を迷宮へと誘うことを宣言しているようである。

犯人が獲物をロックオンしたときの目のクロースアップが印象的である。
さらにそれどころか、瞳の中にも被害者の様子を映して、その犯行の様子も瞳というスクリーンで完走させるのだ。

後半のハラハラドキドキが加速していく流れが素晴らしい。
ある意味密室殺人に近い状況と、信頼性のある者とない者のあやふやなライン、人物たちの関係性やバックグラウンドといったあらゆる情報から、推測していくことができる。

恐怖に追い込まれる状況づくりが素晴らしい。
嵐の夜というのはもちろんだが、救いの手の現れるもしくは去るタイミングの良さと、主人公の話せないというハンディキャップ、人物の入れ替わりなど…。
「あれ?もしかしてヤバいのでは…」と思わされる、このゾワゾワ感はスリル満点である。

とても綺麗なラストであるけれど、それゆえに悲しみも残るような涙を誘う締め方もぐっときた。
Ricola

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