半兵衛

らせん階段の半兵衛のレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
3.9
70年以上前の作品なので死体描写はソフトではあるが、障害のある女性ばかりを狙う殺人鬼のキャラクターや彼の目のアップをはじめ様々な凝った映像やディテールの使い方が冴えていて後年のジャーロやサイコサスペンスなどを思わせる緊迫感のあるドラマに。

過去のトラウマから喋ることが出来ないヒロインが殺人鬼の思惑により広い屋敷に取り残されどんどん追い詰められていく後半の展開がスリリングで、その途中屋敷に現れる警察の使い方も巧くて物語がどう転ぶのか解らず見る人に緊張感を持続させる。怪しい登場人物によるミスリードも見事で、シオドマク監督の一流の仕事ぶりが堪能できる。

一番びっくりしたのはヒロインが階段にある鏡で自分の顔を覗くと、鏡にうつる彼女の姿が殺人鬼から見るヒロインの姿にスライドしていくシーン。怖いシーンに慣れている人が見てもかなりドキドキするはず。

ヒロインを演じるエセル・バリモアが喋れない分表情や身振り手振りで感情を見事に表現し、映画を盛り上げる。あと屋敷の実質的主人である老婆を演じるドロシー・マクガイアの貫禄ある演技が映画を見事に締める。
半兵衛

半兵衛