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らせん階段のtackyのレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
3.8
狭い邸内ワンシチュエーションのサスペンス映画で、戦後アメリカで流行った精神分析を基本とする「ニューロティック映画」の一本。ヒッチも「白い恐怖」を撮っている。主人公が失語症の為、思いを伝えられず、手に汗握る作品となった。

シオドマク監督の演出は、ヒッチほどでは無いが、シャドウを上手く使い二度目の殺人シーンや地下室の散策シーンなどで、白と黒の対比を使ったサスペンスを盛り上げる、素晴らしいものであった。

この犯人はクズ人間で、父へのトラウマから、弱者ばかり狙って犯行を繰り返すのだが、それに狙われた主人公が電話などで危機感を伝えたくても、できないもどかしさなどを、上手く表現していたと思う。

ただ、ワンシチュエーションなので、中だるみがあり、登場人物も限られるので、犯人もすぐにわかるところが、やや難点ではある。また、クライマックスの母親の登場シーンが、唐突すぎてもう一つだった。

ドロシー・マクガイアはこの時もう30歳を超えていたみたいだが、とても可憐で可愛いくて、最後にトラウマを克服するシーンは感動的であった。

冒頭の足の悪い娘の殺害シーンだが、ダリオ・アルジェントの「サスペリア2」、「シャドー」にそのオマージュがある。
シオドマク監督は、後のイタリアのジョーロ(サスペンス映画)にも多大な影響を与えた監督なんだと感慨深かった。
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