かずぽん

らせん階段のかずぽんのレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
4.0
監督:ロバート・シオドマク(1945年・米・83分・モノクロ)
原作:エセル・リナ・ホワイト『らせん階段』

ずっと本作の監督は、ヒッチコックだと思い込んで観ていた。
原作者が『バルカン超特急』の作者でもあるので雰囲気が似ているのかも知れない。


ニューイングランドのとある町が舞台で、この日、ウォーレン家の女中のヘレン(ドロシー・マクガイア)は、ホテルで上映された無声映画を観ていた。
映画が終わると同時に、真上の部屋から大きな物音がした。
支配人が行ってみると、若い女性が殺されていて、最近起きている殺人事件と関連があると思われた。
一番目は顔に傷のある娘。次に精神薄弱の娘。そして今回は、足の悪い娘だった。
ヘレンがウォーレン家に戻ると、夫人が呼んでいると言う。
ウォーレン夫人(エセル・バリモア)は、どうも気難しい人のようで、雇っている看護婦と喧嘩していた。
夫人は理由も言わずに、ヘレンは今晩この屋敷を出て行くようにと言い、「出て行かないのなら、この部屋にずっと居なさい。」と言うのだた。

一連の事件の被害者は、身体の何処かに不具合・不自由を持った若い女性という共通点がある。
ヘレンは、子供の頃の実家の火事で両親が亡くなるのを観て以来、そのショックで口がきけない。
ヘレンが狙われる可能性は十分にある。
事件の犯人は最後まで顔を出さないが、クローゼットのドレスの陰や大雨の木の陰から、じっと見つめる犯人の目だけがアップになる。
殺害の瞬間は直接的には見せないけれど、とても工夫がされていて上手いなあと思う。
タイトルの「らせん階段」が中々出て来ない。そして、衝撃のラスト。
上質のサスペンスだと思った。シロクロのコントラストも稲妻に浮かび上がる情景もよい。

ヘレン役のドロシー・マクガイアは、『紳士協定』『避暑地の出来事』に出演しているので、機会があれば観てみたい。
エセル・バリモアは、殆どがベッドで寝ているだけだったが、その存在感には他を圧倒するものがある。
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