ほーりー

らせん階段のほーりーのレビュー・感想・評価

らせん階段(1946年製作の映画)
3.7
外から聞こえる暴風雨の音、暗闇の中でらせん階段を降りる女性を真上から撮ったオープニングからして不安感を煽っている。

スラッシャー映画の元祖と言えば前にレビューを書いた「暗闇にベルが鳴る」や「ハロウィン」だけど、更に遡ればこの「らせん階段」が源流であるように思う。

二十世紀初めのお話。ある町で次々と障害者の女性ばかりが殺される事件が発生。

主人公のドロシー・マクガイアは精神的なショックから発話ができなくなり、今では資産家の屋敷で女中として働いていた。

次に狙われるのは自分ではないか?彼女自身もそして雇い主であるエセル・バリモアもそんな不安に駆られる。

そして彼女の身を案じたバリモアはすぐにこの家を発つように勧めるが、既に恐ろしい殺人鬼は屋敷内に潜んでいた。

何が怖いかというと、主人公が叫んで助けを呼びたくても声が出ないという点。もし自分があの立場だったら……と思うとゾッとする。

監督はロバート・シオドマク。ナチ台頭でアメリカに亡命したドイツ人監督で、改めてドイツ系の監督はホラーを作るのが上手いと感じた。

ちなみに私はシオドマク監督の写真を見るたびに白熱電球が頭に浮かんでしまう(゜o゜(☆○=(-_- )゙

雷雨の中、主人公がいそいそと屋敷へ帰る中、雷が光った瞬間、木の影から不気味な男が現れて彼女のあとをつける場面なんか堪らない。

さて「暗闇にベルが鳴る」のさらに約30年も昔の作品だが、両者を見比べるとかなり似たシーンが多いので驚く。

冒頭描かれる殺人事件で、クローゼットの中に殺人鬼が潜んでいるシーン、これなんか「暗闇に~」の第一の殺人と全く同じシチュエーションである。

そして犯人の眼の超クローズアップもそっくりだし、劇中登場するオバサンがアルコール依存症でやたら隠してるお酒を飲んでいるのもよく似ている。

恐らく「暗闇に~」の作り手は本作をかなり意識して作ったのではないかと思う。

■映画 DATA==========================
監督:ロバート・シオドマク
脚本:メル・ディネリ
製作:ドア・シャリー
音楽:ロイ・ウェッブ
撮影:ニコラス・ムスラカ
公開:1946年2月7日(米)/1949年2月15日(日)
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