6,500万年前、宇宙を航行する知的生命体が存在した。惑星ソマリスに暮らすパイロットのMills(Adam Driver)は、娘の治療費を稼ぐために二年間におよぶ長期航行の任に就く。航行中、船は予期せぬ小惑星帯に突入。損傷した船はそのまま未知の惑星《地球》へと墜落する。
◆ 65
『猿の惑星』っぽいとの触れ込みを其処彼処で目にしていました。「これネタバレにならないか?大丈夫か?」と半ば訝っていましたが全くネタバレではありませんでした。
物語は、6,500万年前の地球に意図せず不時着してしまった『ソマリア星人』が、肉食恐竜に追いかけられながら『チクシュルーブ隕石』(恐竜の大量絶滅の原因となった小惑星)が地球に衝突する前に脱出を試みるというもの。『白亜紀の隕石衝突時に、知的生命体が地球に降り立っていたらー。』というifのお話。悪夢のようなスターツアーズ。
上の通り、設定は非常にシンプル。主な登場人物は、墜落事故から生還した操縦士のMillsと、彼と言語体系の異なる少女Koa(Ariana Greenblatt)の二名。こちらも非常にシンプル。シンプルが故に、ここでお察し。恐竜の餌要員はきっと居ないんだろうなー。
主演がA.Driverだから先入観があったかもしれませんが、Millsらの不時着した先が《沼地》で、しかも何やら《泳ぐ背中》がチラ見えしていて、『スターウォーズ』の《惑星ダゴバ》がフラッシュバックしました。
◆ Million Years Ago
『クワイエット・プレイス』の原案および脚本を務めたScott BeckとBryan Woodsが手掛けた作品故に、本作には随所に似通った演出が取り入れられていました。
︎︎︎︎︎︎☑︎ モンスターだらけの環境でサバイバル
今作では《主人公が宇宙人》でしたが、モンスター(古代生物)が跋扈する環境でサバイバルを余儀なくされる様子は『クワイエット・プレイス』と同様です。
︎︎︎︎︎︎☑︎ 思わず顔を歪めてしまう『痛み』の演出
『クワイエット・︎︎︎︎︎︎プレイス』でも階段で釘を踏み抜いてしまう等『痛み』についての表現が特徴的でした。今作でも、恐竜に噛み付かれたり、高い木から落下して肩を脱臼してしまったり、生々しい痛みを連想される描写が随所に見受けられました。
︎︎︎︎︎︎☑︎ 大人と子供の心の交流
厳しい環境の中、最初はお互いに歩み寄ることが出来なかった二人が、危険を乗り越える事で絆が生まれます。シンプルな舞台設定ではありますが、深みのある人間ドラマは見応えがあります。
製作にSam Raimiが加わっていましたが、彼がプロデュースしたくなるのも納得のクオリティでした。『来るぞ来るぞー!』とジワジワと恐怖感を煽る演出や、暗がりから『ギャー!!』というお決まりのジャンプスケアもあって、ホラーというほどの作品では無いですが、ビビりの僕はしっかり驚きました。
◆ A Visitor Clash Landed On Earth
93分の比較的あっさりとした尺であり、勿体ぶらずに恐竜を早めに投入してくれた点も良かったです。そういえば『クワイエット・︎︎︎︎︎︎プレイス』でも速攻でモンスターが開示されていましたっけね。
スリラー作品であるが故に獰猛な肉食恐竜ばかりガンガン投入されており、終始ハラハラさせられました。「お飾り的な草食恐竜に割く予算は無い!」と言わんばかりに振り切った配置には制作陣の拘りを感じます。
小柄でわちゃわちゃした四本足のスクス系。スラッと細身で小柄のドロマエオサウルス系。次いで、二頭のティラノサウルス(待ってました!)が登場する段階を踏んだ展開は王道ですが見応えがありました。
今作で大ボスに据えられていたティラノサウルスよりもイカつい《四足歩行の巨大な捕食動物》。アイツは一体何者なんだ…。
毎年のように新種の恐竜が発見されているので、『こんなやつも居ただろう』で創ったフィクションをかますのも否定はしませんが、『ジュラシック・ワールド』の『インドミナス』系統を意識したようなモーションは流石に少し気になりました。