すべてにおいて凡庸。
主演俳優のアダム・ドライバーが
「脚本、撮影、CG、演出、編集、音楽…仲間はみんな死んじまった…おれ一人の力でこの映画を商品として成立させなきゃならんのか…」
と孤軍奮闘する悲壮感が、皮肉にも主人公の状況とダブる。
せめてどんでん返し展開か何かねじこんでエンタメ性を維持してくれないかとも思ったが、それは叶わぬ願い。
なぜなら序盤でご丁寧にも
「"6500万年前"の地球」
とバラしてるから。
公式により盛大にネタが割れた以上、観客は
「ああ、最後は隕石が降ってきて恐竜が滅亡するのね…」
「そのドサクサで主人公は地球からの脱出に成功するのね…」
と醒めた目で90分の茶番を見守るしか無くなってしまう。
主人公が命からがら"謎の惑星"から脱出した後に
"65 million years ago on earth"
とでも提示すればいくらかマシだったはず。
「この惑星はどこなんだ…?」
「65ってタイトルはどういう意味なんだ…?」
というミステリー性、観客の集中力を途切れさせない推進力が(少なくとも形式上は)担保されるから。
サイレント映画でも成立しそうなセリフの少なさに加えて "異星における原住民との戦闘と脱出劇" と、メリエスが120年前にやった話を見た目だけそれらしく装飾しただけの雑な焼き直しでしかなくなっている。