「松江君まだまだね」と言われたまま、この世界から旅立って行ってしまった1人のAV女優、林由美香。
そんな彼女が何故だか韓国のAVビデオに出演していた。何故なのか?その足跡を知りたくて、監督が今まで由美香さんと、公私問わず、縁のある人たちに女優「林由美香」という人間とそして日韓合作で撮影された「純子」という作品にかかわる人たちにインタビューしたドキュメント。
みる人によっては、単なる1人の女優をこよなく愛する人たちが集まって、ワイワイ自分たちだけで盛り上がっているように感じる人もいるだろう。
でも全編通して決して、見てて苦にならなかった。
問題の「東京の人妻純子」の説明とシーンなどもなんだか妙に面白おかしくそして切なくなってきた。
印象的だったのが、由美香さんの話をする男性たちが皆、笑顔だったこと。由美香さんという存在は亡くなっても、どこかで由美香さんがまだ、生きているんだなと。
「東京の人妻純子」の当時の韓国側の役者さんやスタッフ達のインタビュー、AVに出演した、それにかかわったということだけでも、仕事がもらえなかったりする厳しい現実、彼らにとって、その時の生活ゆえにしたことも結果的に、その後の、それぞれの運命に重くのしかかっているというのは辛くて切ない。
そんな性に対しての日韓の意識のギャップもなんだか不思議な感覚に感じた。
本当ならあまり映画として出演したくはなかっただろうし、彼らにとって必ずしも楽しかった経験ではなかっただろうに…。
最後に映画に描かれてないシナリオの結末を完結したいと願う松江監督の願いを快く引き受けてくれた韓国の監督と出演してくれた人たちの思いで作られたエンディング…
7年の時を経てようやく本当に「純子」が完結した。
多くの人たちにとって、名も知らないAV女優、林由美香さんという存在…でも、女性の本当の力強さを持って、たとえAVやポルノ映画においても、仕事をいつでも真摯に受け止め、楽しんでいたという人がいたというのを、この作品で知ることが出来たし、彼女の為に集まってくれる人たちがいる、いつでも面白おかしく、懐かしんでくれる人たちがいるということは、女優冥利に尽きるのではないだろうか…
最後、少しホロリとしてしまいました。
さて、由美香さんは松江監督とこの作品をどう評価するのだろうか、気になりますが…(笑)