kirito

シングルマンのkiritoのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
4.0
【全ての事象はあるように「ある」】

大学教授のジョージは、8か月前に同性愛の恋人ジムを事故で失い失意の中にいた。ある日彼は遺書をしたため自殺を図ろうとするが、ある青年ケニーが近づいてきて…

『コリンファースおっかけ第3弾!!』と元気よく行きたいところですが、今作はそういうテンションで書く作品ではなさそうです。

【開始10分の感想】
これは、なかなか思いテーマのモノを選んでしまった…

【終了時の感想】
やばい。傑作を見つけてしまった…

まず、今作のキーワードは、『満たされない者』というのがふさわしい。
注目する点は、「目」と「たばこ」にある。
なぜかというと、この作品には心が満たされていない者、いわば心にぽっかりと穴が空いてしまった者が多く登場するのだが、その共通点はこの「目」と「たばこ」にあるからである。
ジョージがとにかく相手の目をよくみるのだが、目がドアップでしかも長いこと映される。まるでジョージは自分と同じ心境の者を目で読み取ってるようだ。
そしてもうひとつの「たばこ」だが、心が満たされていないと思われる者はみんな吸っている。
もうこれでもかというほど喫煙のシーンが描写されているのだ。
これから観る方はこの点について是非意識してみてください笑

そして、今作にはもう一つ意識してみると面白い点がある。
それは、現在と過去の描写だ。
恐らく、ジョージの気持ちをそのまま画面の明るさに反映させているのであろう。
過去の恋人のジムがいるときは、画面も暖色が使われ暖かい雰囲気を醸し出す。それに対し、ジムがいない現在はまさに暗く冷たい雰囲気である。
この使い分けのほかに、トレードマークの黒縁メガネもひと役かっている。彼の心が晴れているときはどうやら黒縁メガネをかけないようだ。

しかし、ジョージとケニーで過ごす最後の20分くらいは素晴らしかった。
ネタバレになるので、詳しくは踏み込まないが、秀逸の一言。
一つ言えるのは、ただゲイがどうのこうのという次元の問題ではなくて、それよりも高尚な話。
この2人はすごくいい関係だと思う。
いやーケニーはすべてわかって近寄ったんだろうなぁ~

さて、お目当てのコリンファースですが。やばいですね(このやばいという単語はいい意味でつかわれることが現代では増えたみたいですね。最新情報)。
スーツに黒縁メガネと一見「キングスマン」の彼ですが、この格好が恐ろしく似合う。かっけ~んすよ。
そして、演技も素晴らしい。顔の表情で本当に心情が手に取るようにわかってしまう。すごいわ。本当。
また、好きになってしまいました。

結末は意外です。裏切られる人もいると思うし、たぶん賛否両論別れる結末だと思います。
私は、結末を含めてこの作品の世界観が大好きでした。
そのため高評価をつけておきます。
私は「オススメ」します。

~おまけ~
このジョージが住んでいる家が豪邸で、めっちゃ住みたくなるんですけどw

今回の名前がジョージ。「英国王のスピーチ」もジョージ。
毎回つながりがありますな!
2015.9.17

結末含むネタバレコメントはこちら↓
kirito

kirito