かえるま

ラブ&モンスターズのかえるまのレビュー・感想・評価

ラブ&モンスターズ(2020年製作の映画)
4.0
<ネタバレなし>全く注目されていない(多分)が、めちゃめちゃ面白い。なんだこれは。

Netflixオリジナル作品なので会員でないと観られない。
月額が高いと思うキミは今日の晩飯抜きだ。寿司でも食ったと思って会員になれ。

モンスターが跋扈し人類が食物連鎖の頂点から転落した世界。
生存者たちは地下のコロニーに隠れて僅かな資源で生き長らえていた。

主人公ジョエルもそんなコロニーの一つで暮らしていた。彼には夢がある。
それは、世界が終わる前の17歳の頃の恋人、エイミーに会うこと。
24歳になった今、彼女に再び会う為、ジョエルは命を賭けてモンスターの世界へと繰り出していく。

モンスターを前にすると恐怖でフリーズしてしまうような落ちこぼれの彼は、果たして無事にエイミーに会えるのか?

この作品は「大人になりきっていない大人」が生存すら危ぶまれる世界に踏み出し、「大人」になる映画だ。
本作における「モンスターが跋扈する世界」は、厳しい現実社会のメタファーであろう。

ジョエルはいわば、高校生の頃の気持ちのまま大人になってしまった人物だ。
自分の能力の低さに怯え、低い自己評価から「会えない恋人」という都合の良い空想に傾いてしまう。

しかし、出だしこそ「恋人を取り戻す」というファンタジーな目的だったが、旅の中でメンターを得て友人を作り、学び、成長し、自信を持つ。それは大人になる、ということだ。

ストーリーはとても王道。それゆえわかりやすく、老若男女の共感を得るのではないだろうか。泣けるし、ラストのジョエルの活躍にはワクワクする。
よくこんなにコンパクトかつ的確にまとめられるものだと感心する。

演出面では、コメディ調を保ちながらも、緊迫するシーンでは緊迫感を見せる。このメリハリに惹かれる。
あとラストの浜辺の決戦でのアクションは意外に本格派である。

モンスターの造形やCGもとても良くできている。
一昔前のモンスターパニック映画のショボショボクソCGを見慣れている世代にはココも感動するポイントだ。

本当に良作。その辺の劇場作品観るより絶対いい。「王道」とか「ベタ」ってやっぱいいよな!と感じさせてくれる、そんな映画。
かえるま

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