このレビューはネタバレを含みます
119分あったのかといま情報を見て驚いた。
正直本編自体は90分でも良かった気がする。
でも結構好きな1本。
ステイサムの縦横無尽のアクション映画ではなく、あくまでもガイ・リッチー監督作品として成立した1本になっていた。しかもイメージしがちな陽性な方向ではなく、どちらかといえば語りのテンションは陰の方を向き、暴力の度合いは増している。直接的な描写は勿論だが、それ以上に画面に映さない映像から流れる音で表現するところなどはおぞましい。
本作のステイサムはいつも以上に表情の変化は無く、声も抑揚をつけることなくボソボソと喋る。それが彼の人物背景によってこうなってしまったものとして描写されており、多分オリジナルの作品からこんな風なんだとは思うが、ステイサムにピタリとハマっていた。暴力だけが残った空虚な幽霊として存在する彼は、とても怖い。
ガイ・リッチー監督の時系列を動き回る編集は今回も活きていて、本当に作品の空気が違うだけなのが分かる。終盤の銃撃戦の立ち回りはある別時間線の話と並行して語られるのだが、徐々にヒートアップしていく様子が素晴らしい。
『ジェントルメン』の円熟した作りといい、最近ガイ・リッチー監督からまた目が離せなくなってきた。
ところでスマホの音楽は前振りが一応あるとはいえ笑ってしまうよ。