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映画 太陽の子のhamahamajiのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
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ドラマ版は昨年、リアルタイムで見ました。
でも映画版の方がより修の科学者としての想いを深く描いている感じがして、重かった。
映画館は満員でした。
今年は8/6も8/9も8/15もスルーしてしまいそうなくらい、年々戦争を取り扱うテレビ番組も少なくなって来たような気がする。。改めて、この現実がまだ祖父母の生きた時代の出来事だということが信じられず、だけど少しずつ風化してしまっているのではないかという恐ろしさも同時に感じてしまう。。
柳楽優弥は素晴らしい。もう修でしかなかった。科学オタクみたいなちょっと気持ち悪い感じも愛おしく演じてた。
原子爆弾を被害者の立場でしか考えたことがなかったけれど、焼け野原となった広島の地に何度も足を運んで調査して、被爆した人の骨を持ち帰り研究の材料にしてた日本人がいたこと、なんとも言えない思いになってしまう。修の母の言葉を借りると、恐ろしい。
何でこんなことになってしまったのか、戦争を大義だとはどう解釈しても納得はできない、きっと大半の人間はそう思ってたはず。でもそうなってしまった以上、未来を見据えてただできることを、未来の何かになるために、今を生きるという信念。
裕之が特攻隊として命を犠牲にしてしまったこと。特攻隊ほどアホらしいことはない、本当に無念。人の命があまりにも軽かった時代。その中で多くの犠牲の上に命を繋ぎこれまで時代を築き上げて来てくれた先代たちの思いを経て、我々はそれに値するだけの時代を、世界を作れているのだろうか。。ふと劇中そんなことを考えて、コロナという未曾有の脅威に直面している今の世界は、なにかの報いなのだろうか、とか考えてしまった。
どなたかのレビューで、お母さんが産んだ子は裕之だけだというエピソードを読んだこともあり、より兄弟の絆にもぐっとくるところがあったし、母の分け隔てのない愛を理解しつつも、裕之が亡くなったときの心境を察すると辛すぎた。
特別大ファンとかではなかったけれど、春馬くんが亡くなってから公開された映画は映画館で見たいと思って足を運んでます。戦争が怖いと、死ぬことが怖いと、泣いていました。必ず無事で帰って来てください、怪我なんてしたら許しませんよと言われ、はいと答えてました。本人にしかわからないので部外者があれこれ言うことではないのは承知の上ですが、どうしてもリアルと重ねずにはいられないと思う。裕之が家族を愛し愛され気高く生き抜いた人でよかった。
歴史に目を背けず、現実に幻滅もせず、未来にきちんと希望を持って、生きていかなければと思いました。
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