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映画 太陽の子のnatsuのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
3.7
1年前のNHKドラマを見た時、すごく物足りなさが残っていた。つまらないというか、説明されていない。わからないな、と思っていた状況が沢山あって…。
それが、映画を見ることで少しは理解できたように思う。まだ理解できなかった部分もあるけど。


正直な感想として。
修兄ちゃんは狂っている。変態。実験に取り憑かれてしまった科学者。知らないことを知りたい。見たいものを見たい。ただそれだけ。
周りの仲間たちは、実験に力をいれながらもこれで良いのかと思っている。人類にとって危険な原子爆弾を作るのが本当によいことなのかと疑問を持っている。もしくは、たくさんの命が戦場で亡くなっているのに自分だけ戦場に出なくていいのかと葛藤していたりもする、
材料も足りない中で実験も成功するとは思えない、爆弾ができるなんて思えない。
そんな疑問、不満、不安があふれている。
そんな中で修はとにかく手を動かす。やるしかないと。でもそれは、やりたいから、知りたいから、というその気持ちがあるからに過ぎなかった。。
だって最後には、爆弾が投下される場面を見届けたい、それが科学者の使命だ、と言う。そう言って京都の山に登るのだ。

あの広島の焼け野原を見た後だというのに…あの世界を見て、あなたはいったい何を思ったの?と不思議でならなくなる。
教授でさえ言う。自分が君くらい若かったらそう思ったのだろうか…?と。
それほど狂っているとしか思えない行動。

そんな修に対して、真正面から受け、私はここに居る、逃げれと言われても逃げない、科学者の母としてそれを見届ける、そう言う母。なんだこの母のどうしようもない強さ。

そしてまた、未来を向いているセツの強さ。戦争が終わった後に自分はこうしたい、こうなるのだ、と希望を持ち続けている。

戦場に直接参加できない、女性の強さ、なのか?
戦争なんて早く終わればいい。そんなふうに口にする。
それは、この時代の男性には言えないことだったんだろう。

だから、裕之だって死んだ。死を覚悟して前線に戻って行った。


この映画の核は何だったんだろう。もちろん戦争の理不尽さはわかるが、わたしには、最終的に修兄は狂った人だというイメージしか残らない映画になってしまった。
なんでGIFT OF FIREなんだろう。原爆はギフトなのか??原爆は太陽の子なのか?
なんでこれ日米合作なんだろう。だれか教えてくれないかな。

2021.8
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