明確な反戦映画であるものの
この手の邦画にしては台詞として「戦争反対!戦争ダメ!」
と露骨に言うシーンが少なく(無いわけではないが)
むしろ芝居と演出だけで反戦を示す方に重きを置いており好感が持てる。
特に象徴的な三浦春馬演じる戦地から帰ってきた兵役の弟が
戦場での過酷な話とか一切しないし常に笑顔をたたえた好青年なのに
炎を見た瞬間唐突に号泣し翌日にはまた笑顔を浮かべる。
ここで戦地である重大なトラウマを抱えてるのだと
ちゃんと観客に伝えておりなかなか鮮やかな手際だと感じる。
一方で本作は科学の追求については否定的なスタンスをとっていない。
これが非常にフェアで好ましい。
結果として彼らは原子力爆弾という
人類の手に余るような科学の産物を目の当たりにするけど
それでもなお科学の追及は止めないし止められない。
弾けた中性子が次の核分裂を引き起こすように連鎖し
危険な発光だと分かっていても見るのを止められない。
並の映画ならこの行き過ぎた科学の追及自体を止めようとするけど
本作は科学の追及自体は止められないから
そこに愛や倫理で自らセーフティロックをかけるように描いている。
セーフティロックが母だったり有村架純だったり自問だったり。
正直本作一番の欠点は主題歌福山雅治かもしれない。
別に福山雅治が悪いわけじゃないけど
本作のトーンであればもっと静かなエンドロールの方が良かったなあという印象。