Morohashi

映画 太陽の子のMorohashiのレビュー・感想・評価

映画 太陽の子(2021年製作の映画)
4.0
原爆ができることは、ある意味時代の必然だったのかもしれません。

もはや施設があれば作れてしまう核爆弾。今は核兵器を持つ/持たないではなくて、いかに使いたい衝動を抑えられるかっていうことが大切だと感じました。

科学は人間の心次第で平和にもつながるし凶器にもなり得ることを改めて思い知らされました。

この作品では、日本が先に原子力爆弾を実用化していたとしても、それを使って戦争に勝った先に何があるのか、と考えさせられます。
戦争は国家の闘いでありながら、結局は国民の心身の犠牲を払うことになるのです。平和を守るためには、単に敵を倒すことだけではなく、戦争の根本的な要因を取り除く必要があるのではないかと感じました。

この物語の主人公は3人で、戦争に対する三者の生き方が描かれています。兄は心の病を抱えながらも戦地に赴き、戦おうとした姿は胸を打ちました。彼は自分の立場や病気を超えて、家族や国のために尽力しようとする強い意志を持っていました。弟は原子力の力でエネルギーを生み出し、戦争をなくそうとする理想を追い求めています。彼は科学の力を使って平和を実現しようとする前向きな姿勢が印象的でした。そして、戦争の結果、家を失った世津の悲しみと再生の物語も心に残りました。彼女は戦争の犠牲となりながらも、希望を持ち続ける強さを見せてくれました。

この作品は、原子力開発の有無ではなく、平和という概念への価値の違いを問いかける意義があると思いました。原子力は、エネルギーを生み出す力としての可能性もある一方で、核戦争の脅威としての存在も持っています。私たちは、豊かな生活を享受している今こそ、平和の尊さを再確認し、戦争の惨禍を経験した過去を忘れずにいる必要があります。この映画を通じて、いかに今の生活が豊かで平和であるかを認識し、平和を守るために何ができるのかを考えさせられました。

「太陽の子」は、核戦争の脅威や平和の尊さを考えさせられる重要な作品です。登場人物たちの思いや選択に共感しながら、戦争の悲惨さと平和の尊さを再認識しました。私たちにとっての教訓となる映画であり、将来の世代へのメッセージとしても価値があると感じました。
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