家庭という幸せを築く場所は一歩道を踏み外せば悪意に満ちた場所になり得るという物語。
安定し希望に満ちていたある家族が徐々に崩壊していき、取り返しのつかなくなる様が見事に描かれている。主人公のローリーはアメリカでの成功を踏み台に、イギリスでのさらなる成功を夢見て家族と一緒に移住をする。彼の小さな野心は次第に大きな野望へと変化し家族までをも巻き込んでしまう。
家族4人が、少しずつ崩壊に突き進み、本来安全である家庭という場所が、安全ではなくなるまでを繊細、丁寧に描写されている。
特に、終盤の夫婦が互いの不満を爆発させる場面は圧倒され、最も印象的な場面である。映画全体を通して、主人公たちが徹底的に落ちていく様子には、どこか心地よさすら感じるほど物語展開が素晴らしい。
また、主演二人の深みのある演技が、物語に更に真実味を持たせ、奥行きを与えている。
