ニューヨークで何不自由ない生活を送っていた家族が、夫の故郷イギリスへ帰国したことから崩壊への道を辿る姿を冷徹に見つめたスリラー。
夫ローリーの見栄と虚飾が浪費を生み、妻アリソンとの軋轢を生んでいく。
ローリーの背景はそこまで詳しく語られないが、どうやら故郷では貧しく悲惨な生活を送っていたよう。
その反動からかローリーは金持ちぶることに執着していくが、求めれば求めるほど、何を求めているのかわからなくなっていく。
久々に会った母親にはアリソンの連れ子であるサマンサの存在は隠したりしてしまう。
そしてこの物語はローリーの虚飾だけには留まらないのもすごい。
アリソンもローリーからもらったこれ見よがしなコートを終盤まで着続けるし、サマンサは友だちに見栄を張ってクスリを買ってあげたり、自宅をパーティー会場にしてしまったりする。
少なからずローリーの恩恵を受けてきた家族たちが、金が底をついて初めて家族の真の姿を目の当たりにする。
シンプルな背景で家族の崩壊劇を極限までスリリングに描いている。
これからこの家族たちはどのような方向に向かっていくのだろう。
ジュード・ロウとキャリー・クーンの演技は素晴らしい。