時折出てくる緩やかなズームインが観客に昆虫観察のような客観性を持つことを強要しており、家族の不和を描く題材に対して意地が悪くて良い。勿論アルトマンとは全然用法も違うと思うが、ズームインが作家性の刻印を帯びているという意味では久々に面白そうな人が出てきたのでは。
また、ラストシーンでは、まずジュード・ロウ視点(バストショット)から妻に切り返し、その次に食卓の全景が映し出されて子供たちも一緒に座っていたことが明かされる。ここの繋ぎにはロウから子供たちの存在が見えていない孤絶感も含まれており、今後も家族の不和は続いていくであろうことを予感させる。そういう細やかな技が随所に効いている映画でもあった。