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カンバセーション 残された時間のtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

詩人が主役。恋人と父親が絵描き。そのせいか静かで落ち着いたトーン。
主役のポエムが合間合間に語られる。はっきり言ってその詩が特別心に響くとかはない。
しかし、詩の響きがこちらの無意識に作用していたようだ。

死期を悟った病弱の父親の長男に対する静かだが厳しい叱咤が主役の心に響いたように、こちらにも強く響いてくる。
そして命を引き取る直前の長男と次男に残す言葉が深く心を打つ。

死の数日前に確執のあった父親と和解の雰囲気になった次男が嬉しげに訪ねてきた時、こちらも悲しみに暮れ「死ぬ前に親子の心の触れ合いが復活した救いだった・・」と安堵する。

葬儀の後に父のというより家族にとって良くない友人であり、主役にとっても悪しき影響力をふるう地元有力者に決然と縁切り宣告をするのは、静かな劇の中の爽快な演出。
その後の仕返しや奸計が気になるところではあるが、詩人として生きていく決意を固め、画家の彼女ともしっかり地固めできたようで小さなハッピーエンドの余韻と共にエンドとなる。

落ち着いて見られるのに寝落ちせずちょっとした充実感もあるという結構なスマッシュ的佳品。
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