Tully

シカゴ7裁判のTullyのネタバレレビュー・内容・結末

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

当時の政府側、警察、検察と市民側、学生、平和運動家との主として裁判での攻防を描いた傑作。裁判の進行に伴い挿入される現場の描写も絡めて、デモ隊の暴力行為が実は警察側の罠+でっち上げだったことが、じわじわと明らかにされて行く。見事な悪役ぶりの裁判長や謀略の限りを尽くす警察組織を相手に少しずつ反撃して行き、ラストシーンで裁判長の制止を聞かず、裁判中に亡くなった兵士の名前を読み上げるところで、遂に涙腺が崩壊した。その後のエンドロールで怒り、控訴審の結果を見てほっとして映画の最後に感情が上下して面食らった。描いている世界は50年前なのだが、どうしても今の世界とダブって見えてしまう。BLM運動で暴動を起こして街を破壊した黒人たちは、本当に自然発生した民衆だったのか?香港でデモ隊を襲撃した白シャツ軍団は、本当に一般人だったのか?いろいろと今の世の中を見るときの参考になる。アメリカの政治物の映画を見て感じることは、50年前とは言え当時の政治スキャンダルを当たり前のように公開できる土壌があること。背景に「政府文書は30年後に公開が原則」と言うすごい法律があることはアメリカの希望だろう。日本で「中曽根スキャンダル」を映画化できるか考えると絶望しかない。
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