ももいろりんご

サン・セバスチャンへ、ようこそのももいろりんごのレビュー・感想・評価

3.5
ウディ・アレンだから観に行く。
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決まり文句のようだけどね、言っちゃう。
映画愛にあふれた映画、と。
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以前は大学で映画を教えていたモート・リフキンは、今は小説を執筆中。世の中に傑作を残したいと意気込む。妻のスーは映画の広報で、まもなく開催されるスペインのサン・セバスチャン映画祭に参加という。
スーとフランス人映画監督フィリップの浮気を疑うモートは、サン・セバスチャンへ同行するが、スーの言動にイライラ。ストレスを感じ訪れた診療所で、美しい医師のジョーに恋をする…。
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着いて来なきゃよかったのに。(笑)
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すでに破綻していると思われる妻との関係も、まだなんとかなると妻の仕事場=映画祭について行く。でも妻とイケメン監督との世界からははじかれ、仲間はずれに。本当は悔しいんだけど、オレはまだやれる…妻とも仕事も映画の知識も本当はオレは凄いんだ…感がすごい。
かなりイタイ。
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さっきまで妻が妻がって言ってたのに、優しい美女が、自分を気遣ってくれて(医者だってば)、プライベートで悩んでる(気弱になってるとこにつけ込む気?)、とくれば、オレが力になるよと下心が見え隠れ。
逆に聞きたい。ねぇ、その自信はどこから。
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そして、作中、突如差し込まれる白黒のシーン。モートが見る夢という設定なんだけど、私でもどこかで見たこと!?って思う名作映画のオマージュ、パロディーシーン🎬になっている。
映画好きならこれくらいしってるよね?ってウディに言われてるようで、ちょっとイラッ💢と来るけど、何がどれって一つもわからなくて…すいませんね💦
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このモートは、今のウディ・アレンの投影なんですね。いろいろあったウディが自分自身を振り返り、自虐ネタ含めて心境とこれから、を語っている。
だから、彼の好きな映画の要素がてんこ盛り。パロディの元ネタがわかると、そこにウディの重ねた思いがもっとわかったのかもしれないけど、そこは雰囲気で。
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年齢やキャリアに自信を失い、オレは情けない男と自分を責めつつ、でも、気づいたんだ、とあっけらかんとラストに持っていったウディ・アレンに脱帽。
私はウディの作品を新作も過去作ももっと観たい。コトの整理は専門家と本人にお任せするとして、作品を通しての監視(?!)とか評価はこの先も続けたいと思う。
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原題“Rifkin’s Festival”🤣
いろいろあった後なので、ちょっと図々しくなーい?と思わなくないけど、これがオレの生きる道、ウディ節、健在よ。