うにたべたい

妖怪大戦争 ガーディアンズのうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.1
大映の妖怪特撮映画「妖怪大戦争」、と同じ名前を冠した別作品です。

'05年のリメイク版妖怪大戦争と同じ三池崇史監督作品。
神木隆之介少年を主役に据えた前・妖怪大戦争に"続く"冒険ファンタジーという触れ込みなので、偶然同じタイトルで全くの無関係というわけではない様子ですが、麒麟獅子の伝承もダイモンの復活もなく、ストーリー上、過去作との関連は皆無でした。
そのため、本作視聴の前提として、前作や"大映の妖怪三部作"の視聴をする必要はないです。

ある日、フォッサマグナに埋められた化石たちの恨みが、巨大な「妖怪獣」として現れ、日本海方面から東京へ近づいていく。
その移動する姿は人間には見えないが、天災という形で町を襲いながら通過していく。
日本の妖怪たちは、妖怪獣が東京の非常に重要な要となる場所を通過することに気づき、このままだと日本が滅んでしまうと危惧し、妖怪獣を止めるために立ち上がる。
主人公は伝説の妖怪ハンター"渡辺綱"の血を継ぐ小学生「渡辺兄」で、妖怪に連れ去られ妖怪獣を討つことを懇願されるという展開です。

妖怪大戦争というタイトルの通り、たくさんの妖怪が現れて戦闘しますが、水木しげる氏は逝去されているため製作に参加できず、クレジットにも乗っていないです。
京極夏彦氏も今回は参加しておらず、登場妖怪はろくろ首や小豆洗い、天狗、雪女、天の邪鬼など、有名どころのみでした。
また、登場してもその妖怪の伝承や特性などを生かした行動はせず、ただ妖怪コスプレした人間が出てくるだけの作品になっています。
せっかくの妖怪大戦争なのに、"妖怪好きにはおなじみのあの妖怪"みたいなものは登場せず、妖怪愛はあまり感じられませんでした。
前作は妖怪部分が結構ガチっていたので、本作も大きく期待があった分、残念に感じました。
また、映像が全体的に暗く、プレイヤーの明度を最大にしてなんとか視聴しました。
子供向けにするならもっと見やすくするべきで、大人をターゲットにするなら、もう少し妖怪をがんばって欲しかったですね。

ただ、映画としては正直なところ、前作より面白かったと思います。
日本妖怪の中にも渡辺綱に恨みを持つ鬼の一派があり、複数の勢力が兄と、兄の弟「渡辺弟」の二人の力で一つになっていきます。
テンポも悪くなく、最後まで楽しんで観ることができました。
また、妖怪獣を止めるための切り札として、大映の"大魔神"が登場します。
こちらも安易に味方として戦うのでなく、怒り暴れる神という設定が守られており、活躍が見られるのは嬉しかったです。
ターゲットがわかりにくい作品ですが、ひとまず大魔神のファンであれば、令和での活躍を観てもよいのではと思いました。