にくそん

天外者のにくそんのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
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三浦春馬さんの映画だなあ。五代と龍馬が船から日の出を見るシーンは、泣くようなシーンとは違うのにこみあげるものが。まだまだ、切り離して映画を鑑賞するのは難しかった。

W三浦が袋小路みたいなところで殺陣やるシーン、かっこよかった。真剣を振ってくる悪党たちを相手に刀を抜かずに戦うのとか、互いに背中を預け合うのとか。

いかにも時代劇な音楽や画づくりをしていると思うんだけど、何か新しいことをしようとする人への迫害や、異様なまでの憎み方は、現代にも通じる問題をはらんでいるなあと思うし、そう受け取られるように作った映画だと思う。余命いくばくもない遊女が「日本は私のような女でも夢を見られるようになった?」と尋ねるところも、せつないなと思う一方で皮肉を感じた。

終盤では新しいものが正しく受け取られて人々の生活が更新され、五代が街のにぎわいごしに妻の豊子へ笑顔を向けるんだけど、また映画と俳優の人生が勝手にオーバーラップして苦しい。いいシーンだなと思うけど、泣きたくなる。

ラストシーン、お別れに集まる人々の提灯の列が美しく、やっぱり映画の外のことを思わずにいられなかった。
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