みりお

いつかの君にもわかることのみりおのレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
5.0
間違いなく今年ベスト。
当分、これ以上の作品に出会える気がしない。
鑑賞中はもちろん、観た後も感想を話そうとするだけで涙が溢れてしまう…そんな作品でした。

本作は、いくつもの映画祭で大絶賛された『おみおくりの作法』の監督である、ウベルト・パゾリーニ監督の長編3作目作品。
不治の病で余命宣告をされた33歳の父が、4歳の息子の新たな家族を探す物語。
実話に着想を得た作品だそうです。

4歳の子供に死の恐怖を理解させたくない父と、父の異変に気付いて「死ぬってどういうこと?」「"ようし"ってなに?」と、まっすぐな瞳で聴く息子との間に流れる、独特の空気感や間。
互いの答えを待つ沈黙の時間が究極的にリアルで、それが素晴らしい。
そして悩んだ末に、幼い我が子に死を理解してもらうために父が選んだ表現。
「死は怖くない。パパが見えなくなるだけ。でもパパは空気の中にいる。常にどこにでもいて、おまえを見守っている」
幼いながらも、その父親の言葉を必死に頷きながら聴いて、受け止めていくマイケルの様子には、涙が止まらない。
きっとマイケルは、いくつになってもこの言葉を反芻して、常に隣に父を感じながら生きていくことができるんだろう。
それこそ、父から息子への最高のプレゼントだ。

映画のラストシーンは、わたし史上ベスト。
父と息子がこれまで築いた関係も、息子がこれから見つけていく新たな人生も、全てが詰まった最高の瞬間が切り取られている。
(ついこないだベスト5に入る作品を見つけたばかりなのに…今年は良い出会いがありすぎる)

息子・マイケル役のダニエル・ラモントくんは、撮影当時、役と同じ4歳で、演技初経験だったそう。
けれど現場で泣いたり、興奮したり、大きな声を出すことはただの一度もなく、カメラが回ると自然に父親・ジョンをひたむきに愛する息子になりきるんだそう。
まさしく天才ですね。今後が楽しみすぎる素晴らしい子役でした。


【ストーリー】

33歳のジョン(ジェームズ・ノートン)は、窓拭き清掃員として働きながら、一人で4歳の息子マイケル(ダニエル・ラモント)を育ててきた。
だがジョンは不治の病を患い、息子と養子縁組してくれる家族を探そうと多くの家族候補と面会するが、理想の家族を求めるあまり、進むべき道を見失ってしまう。
己の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも、ジョンは、マイケルのために最良な未来を選ぼうと奔走する。


【キャスト・スタッフ】

*監督:ウベルト・パゾリーニ

イタリア出身🇮🇹
1980年代に映画業界に入り、制作助手を務めた『キリング・フィールド』(1984)が、英国アカデミー賞作品賞を受賞しました✨
そしてその後プロデューサーを務めた『フル・モンティ』(1997)も世界的に大ヒット。
2008年に『Machan』で監督デビューし、数多くの国際映画祭で賞を獲得🌟
そして2作目に手掛けた『おみおくりの作法』(2013)も世界的に評価されています。
リメイク版の『アイアムまきもと』は、私はドンピシャに響いたのですが、それもエグゼクティブ・プロデューサーとして関わっていたそうで、私は彼の作品がとことん合っているんだなと実感✨


*ジョン:ジェームズ・ノートン

イングランド出身🏴󠁧󠁢󠁥󠁮󠁧󠁿
2009年に『17歳の肖像』で映画デビュー🌟
その後2013年まで出演作はなかったようですが、2013年以降はドラマと映画への出演がグッと増えています✨
主な出演作は『フラットライナーズ』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』など。


*マイケル:ダニエル・ラモント

100人を超えるオーディションから、ウベルト監督自身によって見出された期待の新星🌟
今後が本当に楽しみな子役ちゃんですね✨
次の作品が楽しみだなぁ🥰
みりお

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