木蘭

いつかの君にもわかることの木蘭のレビュー・感想・評価

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)
3.1
 余命幾ばくも無いシングルファーザーが幼い息子の里親を探す話。
 町並みが時々、凄く日本っぽくてビックリした。

 イギリスの困難な状況に追い込まれた労働者階級の主人公という事で、ケン・ローチの作品を連想するが、こちらの作品は悲劇が次々と襲いかかったり、暴力的なシーンがあったりはしない。
 まぁ、自分と息子を捨てて妻が去って4年しか経っていないのに、不治の病に犯されて・・・って段階で充分に暴力的な環境ではあるのだが。よく心が壊れてしまわなかったな・・・と感心。

 父親の容態が悪化する以外は、日常のシーンと里親との対面シーンが淡々と繰り返され、この繰り返されるシーンの中で、親子の来歴や父親の内面が徐々に描かれていくのだが、何か大きな展開があるわけでもなく、分かりやすくエモーショナルなシーンがあるわけでもない。
 里親との対話はドキュメンタリータッチなんだけど、後半2組は作劇的で浮いてるかな。むしろそういうシーンの方が引き込まれるので、映画は難しいね。
 静かで丁寧な作品だけれども、ちょっと地味。途中で一寸飽きてしまった。

 子供の描写はとても上手くて、特に大家族の里親の末っ子が嫉妬を込めた目で主人公の息子を見るのがとても良い。
木蘭

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